秋にお勧めのスポット①「温泉津温泉」[島根県)
秋にお勧めのスポット①「温泉津温泉」(島根県大田市)
※当記事は2013年8月24日(土)にABCラジオ「柴田博のほたるまち旅行社」に井上晴雄がゲスト出演いたした折にお話しした内容および関連情報をまとめたものです(収録日 7月25日)。
<山陰の名湯、温泉津温泉とは>
秋が到来しようとしているこの時期、静かでしっとりした温泉でくつろぎたいという方も多いのではないでしょうか。そこで今回私がおすすめする温泉は、島根県の大田市に湧く「温泉津温泉」(ゆのつおんせん)です。温泉あり、歴史あり、料理あり、そしてとても静かでひなびた雰囲気がある。それが「温泉津温泉」の魅力だと思います。
温泉津温泉の最寄駅はJR山陰本線の「温泉津駅」です。JR温泉津駅の改札口を出ると、左方向に温泉街に向かう道がのびています。しばらく歩くと、視界に日本海が広がってきます。漁船が停泊し、空にはカモメが旋回している、そんな港町の情緒を感じさせてくれる界隈です。ほどなくして、沿道にはひなびた雰囲気の街なみがあらわれます。白壁の土蔵やなまこ壁をかまえた屋敷、また、純和風の温泉旅館が20軒ほど連なり、レトロな雰囲気。歩いていると、まるでタイムスリップしたような錯覚を覚えるほどです。
▽「温泉津温泉の夕景」 (絵 井上晴雄)
温泉津温泉は歴史が古く、1300年前に湧いたと伝えられています。温泉街が最も栄えたのは江戸時代だといわれています。その頃、温泉津から車で30分ほどの距離にある石見銀山は、世界の3分の1の銀産出量を誇ったともいわれ、産出した銀がこの温泉津の港から積み出されていたのです。それに応じて、旅籠や酒屋、問屋が港周辺につくられ、温泉津温泉は、石見銀山で働く人々の湯治場としてもずいぶんにぎわっていたそうです。しかし、江戸時代が終わり、銀山が衰退してからというもの、まるで時間が止まってしまったようにそのまちなみと温泉が残されました。
<温泉街を見渡せる愛宕山> 温泉街付近には、温泉津のまちなみを見渡せる高台がいくつかあります。そのひとつは愛宕山という標高32mの小高い山です。その山頂には愛宕神社(あたごじんじゃ)という小さな社があり、そこまであがっていく坂道から眼下に広がるまちなみがまた素晴らしいです(※当絵画の風景はこの愛宕山からの風景を描いています)。石州瓦と呼ばれる山陰地方独特の赤瓦を屋根に構えた「旅館や民家」が手前に並び、その向こうには、温泉津湾が静かに広がっています。夕方になると、西に傾いた夕陽が光をはなち、まちをやさしく包み込んでいきます。なんともいえない心地よいひとときです
<優れた泉質を誇る2軒の共同浴場>
温泉津温泉の温泉街の中心部には、「元湯」と「薬師湯」という2軒の共同浴場が立っています。
「元湯」は1300年前から湧いているという自然の源泉を味わえる共同湯です。昔ながらの木造のたたずまい。ガラガラと木の扉をあけると、熱い湯、ぬるい湯、座り湯と3層に分かれた湯船があり、湯がなみなみと満ちています。湯の泉質は、含土類食塩泉です。湧きでるときは透明で地上にでてくると酸化して淡い茶褐色に変わるという不思議な湯です。そして、浴槽の縁には、湯の花が、まるで鍾乳洞の鍾乳石のように付着しています。いかにも効き目がありそうな湯で、入ると、体がぽかぽかしてきて、肌がすべすべになります。
「薬師湯」は「元湯」のはす向かいにある共同浴場で、昔の映画館を思わせるようなレトロな外観が特徴的です。こちらもすばらしい湯で、日本温泉協会の天然温泉の審査で、最高評価のオール5を受けた湯です。薬師湯では湯あがりにコーヒーをいただきながら屋上のガーデンテラスから温泉街を眺めるという楽しみ方もできます。
<温泉津にはおいしい魚介類あり>
温泉津温泉には、20軒ほど温泉旅館が点在しています。海が近いだけに、それぞれの旅館ではなんといっても、新鮮な魚介類をふんだんにつかった会席料理が絶品です 料理では例えば、イカそうめん、あんこう鍋、タイの活きづくり、サザエの壺焼きなど、特におススメです。日本海の荒波で育った温泉津の魚は、身が引き締まり脂が乗っていて、とてもおいしいです
<温泉津には歴史スポットも点在>
温泉津は歴史が古いまちで、お寺や神社もいろいろ点在しています。例えば、JR温泉津駅の近くならば、安楽寺や毛利元就ゆかりの厳島神社などが立っています。また、駅から徒歩10分くらいの距離には、「石見神楽」を毎週土曜にみることができる龍御前神社(たつのごぜんじんじゃ)という神社もあります。「石見神楽」とは山陰地方などに伝わる伝統芸能の一種で、日本神話を舞台に大蛇やスサノオなどが登場する舞楽のことです。龍御前神社では、毎週土曜日、20時から21時に夜神楽も催されています。
<温泉津温泉へのアクセス>
(電車)※大阪からの場合(一例) 新大阪駅→(新幹線のぞみ)→岡山駅→(特急やくも)→出雲市駅→(JR山陰本線快速列車など)→JR温泉津駅→(徒歩約20分またはバス5分)→温泉津温泉の温泉街
(車)中国自動車道から米子道、山陰道と経由して出雲ICから国道9号線で温泉津町へ
<地図>温泉津温泉(島根県大田市)の位置












