瀬戸内海と早朝の浜辺
「有明海干潟の朝陽」
佐賀県の最南端に位置する太良町に訪れた。目の前には有明海が広がっている。有明海といえば日本最大級の干潟を有する海として知られている。潮の満ち引きによる水位差は6mにも及び、刻一刻と景色が変化していく。前日の夕方は海中にあった浅瀬も翌朝になると潮が引いて泥で覆われていた。
沖には一艘の漁船が長い白波を引きながらのんびり巡航している。霞む雲の下には有明海苔を養殖する海苔網支柱群が一列に並んでいるのが見えた。朝陽が昇るにつれ、干潟の泥は光を受け陰影をつくりながら幻想的に輝き、海面は淡い茜色に染まっていく。今日も希望にあふれる一日がはじまる。
(「有明海干潟の朝陽」/F10号水彩画/絵と文 井上晴雄)
絵画「朝陽と紅葉の木々」 絵と文 井上晴雄
冷え込んだ夜が明け、山の端から朝陽がのぼってきた。木々の隙間からまばゆい光が差し込み、それを浴びたモミジの枝葉がシルエットとなって幻想的に浮かびあがっている。
その光景を見て気持ちも明るくなった。暗がりが一瞬にして光あふれる明るい空間に変わる。そんな朝陽の持つエネルギーを表現してみた。
ふと足を止めてみると、日常には光がおりなす綺麗な風景がたくさん広がっている。
しかし、普段意識しなければ、私たちはそれらに気付かず過ぎ去ってしまう。ただ、
それらをひとつでも多く見つけ感謝の気持ちを捧げることが、日々を喜びあるものにするように思える。
晩秋のやさしい光にふれながら、ときに足をとどめそんな景色をひとつでも多くみつけてみたいと思う。
(絵画「朝陽と紅葉の木々」 絵と文 井上晴雄)
「テレコムセンター展望台の初日の出」(東京都江東区)
★テレコムセンター展望台 初日の出観覧(2018年元旦)のお知らせ
北風が吹き底冷えした元旦の早朝、私は、テレコムセンター展望台にて
「初日の出」のときを待っていた。いつしか窓外は、漆黒の闇から、淡い群青色へと変化していた。月や星々が、空のなかにぼんやりと次第に霞んでゆく。
鳥の声がどこからか、かすかに聞こえたかと思ったときだった。はるか東の空から一条の光が射しこんできた。その光はまたたく間に、広々した空を駆けあがり、天地をまぶしく照らしだした。静まりかえっていた東京湾の海面は、それを反射してキラキラと輝きはじめる。館内に集まった人々は、一斉に歓声をあげた。
すべてが感謝と喜びに変わっていく元旦の朝。テレコムセンター展望台にて、幸せと感動に包まれた一年の幕が、ゆっくりとひらいていく。
★テレコムセンター展望台 初日の出観覧(2018年元旦)のお知らせはこちら
※テレコムセンター展望台は毎年、元旦(1月1日)の早朝に特別開館する(5:00頃~)。毎年、1000人近い人々が、お台場随一の「初日の出」の鑑賞しに同展望台に訪れる/入場料大人800円、子供500円/収容人数に制限あり/年によって変更になることもあり。詳細はお問い合わせください
(「テレコムセンターの初日の出」絵と文 井上晴雄) ※当絵画は平成31年3月、テレコムセンタービルに寄贈しました
「古都の朝陽(興福寺)」
奈良県奈良市
絵画と文 井上晴雄.
奈良県の興福寺境内にて。早朝、私はただひとり、夜があけるのを待っていた。昼間は観光客で賑
わっている界隈も、ただしんと静まりかえっていた。気温は低く、かじかんだ手を吐息で温めながら
ただ朝陽が昇るときを待った。漆黒の闇夜は、いつしか群青色に変化し、月の輪郭がぼんやりと霞
んでくる。
興福寺は、和銅3年(710年)平城遷都に合わせて、藤原不比等が 飛鳥の厩坂寺を現在の地に移転し「興福寺」と名付けた寺。以降、現在に至るまで、千三百年の年月が流れることになる。
数時間が経過したとき、空に無数の鳥たちが舞い踊りはじめた。そのときだった。山の端から 光が差し込んできた。まばゆいばかりの陽の光は、凍った空気や大地を一
気に染めあげ、興福寺の三重塔のシルエットをくっきりと浮かびあがらせた。
待っていて良かった。震えるような感動がそこにはあった。
蒼く静まりかえっていた古都に昇った朝陽。悠久の歴史が刻まれた奈良の地には、人の心を落ち着かせ、純粋な感動を、呼び起こす力があるような気がしてならない。千年を超える途方もない年月の痕跡と対峙したとき、日々のせわしなさや 細かいしがらみは、不思議と些事に思えてしまう。古都には、現代社会の尺度では計れない大きなものが秘められているのだろうか。
歴史の一端に触れ、感動を探しながら、生きていきたいと思う。( 2009年3月制作/奈良,遷都1300年,興福寺/奈良県 奈良市/井上晴雄/国内旅行/風景)
高くそびえる黒潮の向こうから 輝く朝陽が差し込んだ
人生は一度きり
過ぎゆく一日一日に感謝して
一分一秒 大切に過ごしたい
「黒潮の夜明け」絵画と文:井上晴雄。
季節は初冬。私は南国に向かうフェリーに揺られて
いた。寒々とした突風が甲板に吹きつけ、船は、
海のなかに今にも飲み込まれるかのように揺れていた。
どこまでも深い暗闇に激しい水しぶきが立ちあがり、
身震いがした。ただ、そのときを待った。
明朝、東の空がかすかに藍色に染まってきた。
そのときだった。水平線上から、突然、光が射し込んだ
まばゆいばかりの朝陽は、またたく間に空気を溶かし、天空を錦色に
染めあげた。うねる波はくっきりと姿を現わし、滑らか
にキラキラと輝きはじめた。待ちに待った朝がやって
きたのだ。
人生には 絶望の縁に立たされることもある。辛さや
悲しさに打ちひしがれることもある。しかしそんなとき
も、舵をこぎづつけ、ときを待てば 必ず陽は上がって
くる。明るい夜明けは、必ずやってくる。
(作品 絵と文:井上晴雄./F8号/2007年6月制作/絵画 海のある風景)
▼作品(絵画)の目次 ①[北海道] ②[東北] ③[甲信越] ④[関東] ④[関東]Ⅱ ④[関東]Ⅲ ⑤[東海]Ⅱ ⑤[東海] ⑥[北陸] ⑦[近畿]Ⅰ ⑦[近畿]Ⅱ ⑦[近畿]Ⅲ ⑦[近畿]Ⅳ ⑦[近畿]Ⅴ ⑧[山陽] ⑧[山陽]Ⅱ ⑨[山陰] ⑩[四国] ⑪[瀬戸内海] ⑪[瀬戸内海]Ⅱ_ ⑫[九州] ⑬「その他2」 ⑬「その他」 ⑭テレコムセンター ⑭テレコムセンターⅡ ⑭テレコムセンターⅢ ⑮温泉 ⑮温泉Ⅱ ⑯美作 ■JR武豊線 ■radio ■「その他」 ■「夕陽Ⅳ ■「夕陽」Ⅰ ■「夕陽」Ⅱ ■「夕陽」Ⅲ ■「夜景」Ⅰ ■「夜景」Ⅱ ■「夜景」Ⅲ ■「夜景」Ⅳ ■「大地」 ■「山] ■「山]Ⅱ ■「川」 ■「川」Ⅱ ■「建築物」 ■「建築物」Ⅱ ■「建築物」Ⅲ ■「朝陽」Ⅰ ■「朝陽」Ⅱ ■「朝陽」Ⅲ_ ■「樹木」 ■「樹木」Ⅱ ■「海」 ■「海」② ■「海」③ ■「湖沼」 ■「漁村」 ■「空」Ⅱ ■「空」 ■「花」 ■「花」Ⅱ ■「花火」 ■「花火」Ⅱ_ ■「農村」 ■「農村」② ■「農村」③ ■「鉄道」 ■「離島」 ■「鳥昆虫」 ■山Ⅲ ■(その他2) ■(その他2)Ⅱ ◇TOPページ ◇「初冬」 ◇「初夏」 ◇「初夏」Ⅱ_ ◇「初夏」Ⅲ_ ◇「初春」Ⅱ ◇「初春」 ◇「初秋」Ⅱ ◇「初秋」 ◇井上晴雄 略歴 ◇個展情報 ◇季節なし ◇季節なしⅡ ◇晩冬 ◇晩冬Ⅱ ◇晩夏 ◇晩春 ◇晩秋 ◇黒豆ラングドシャ 「スポーツ報知」 連載コラム 「スポーツ報知」 連載コラムⅡ 「北海道新聞」にて 「旅の眼」 連載記事 「旅行作家」 表紙連載 「BC札幌」 連載記事 「BC札幌」 連載記事Ⅱ お客様の感想 なつかしの泉北ニュータウン 展示情報 目次/観光情報