絵画「新緑と渓流の輝き」

「新緑と渓流の輝き」

赤沢自然休養林は、長野県木曽郡上松町に位置する日本三大美林のひとつ。針葉樹を中心に豊かな緑に覆われて森林浴発祥の地ともいわれている。

若葉が華やかに山を彩る季節。遊歩道をひた歩いていくと、山中より心地よい瀬音が響いているのが聞こえてきた。渓流の音だ。

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岩壁の裾を洗いながら、まるで糸の束のように水が流れていく。その水はどこまでも澄みきり、川底の小石が透けて見えている。

川面には木々の緑が映しだされ、木漏れ日が水しぶきをキラキラ輝かせていた。

(「新緑と渓流の輝き」絵と文 井上晴雄/F10号水彩/2023年制作)

長門峡の秋

「長門峡の秋」Photo_20201121045001

ある霧が晴れた日、JR長門峡駅で列車を途中下車した。山口市側の渓谷入口にあたる道の駅から、阿武川の河岸に沿ってのびる探勝道を辿る。

眼下には白く速く流れる悠々とした流れ。日本海に向かい、澄んだ瀬音を立てながら流れていく。川べりには石英斑岩が侵食されてできた奇岩怪石がまるで屏風のように連なっていた。

長門峡は山口市から萩市にかけてつづく四季折々の景色を楽しむことができる景勝地。山ひだにはケヤキ、クヌギ、モミジなどが黄色に赤色にと染め競っている。そして、その鮮やかな秋色が深い淵に映し出され、ゆらゆらと揺れていた。こもれ陽が飛沫をまぶしく照らすたび、その余韻が絃の音のようにやさしく伝わってくるように感じた。

(F10号水彩/絵と文:井上晴雄)

絵画「桃尾の滝」

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                  「桃尾の滝」

布留川の上流へ向かい、鬱蒼とした樹林にのびる山坂道を上っていく。山の冷気が漂い、水音が高くなってきたかと思ったとき、視界に大きな滝が飛び込んできた。 「桃尾の滝」だ。

 

滝壺に向かって清水が岩肌を勢いよく流れ落ち、瀑声が山々に響き渡る。その落差は23mにも及ぶのだという。思わず深呼吸をした。奈良県北中部に位置する、この 「桃尾の滝」に私が訪れるのは人生で2回目ということになる。

 

初めて「桃尾の滝」に訪れたのは、今から40年近く前のことだ。当時の私はまだ小さな子供で、母に連れられて同じ山坂道を上り、この滝にやってきた。

 

歩きはじめは意気揚々であったものの、どれだけ坂道を上っても滝にたどり着かず、疲れと先の見えない不安から座り込んでしまった私。そんな私に母は優しく声をかけ背に負って歩を進めてくれた。

 

今になって考えると、身長140㎝ほどの女性が子を背負って滝への坂道を上るのには相当な困難を伴ったに違いない。それでも「桃尾の滝」を何とかわが子に見せようと母は一生懸命だったのだろう。

 

年月は流れ、母は天に召され、私は社会人としての毎日を歩むようになった。ときには思い通りにいかなかったり、先の見えない不安を感じたりすることもある。ただ、そんなときも、初めて「桃尾の滝」を見た日の感動を思い起こすと、不思議と前に進もうという気持ちが湧いてくる。

                                    (「桃尾の滝」絵と文:井上晴雄/2020年制作/f4号水彩)

 

(「桃尾の滝」絵と文 井上晴雄F4号水彩/2020年制作)

絵画「 湯郷温泉 ゆ~らぎ橋 鷺の大噴水のライトアップ(岡山県美作市) 」(絵画と文 井上晴雄)


湯郷温泉「ゆ~らぎ橋鷺の大噴水」のライトアップ[岡山県美作市)

                      絵画 井上晴雄

 

湯郷温泉「ゆ~らぎ橋 鷺の大噴水」のライトアップ/岡山県 美作市/絵 井上晴雄(いのうえはるお)
 岡山県の湯郷温泉は静かな山あいにひっそり湯けむりを立てている温泉地だ。その起源は古く平安時代、円仁法師が西国巡礼の折に、白鷺が足の傷を温泉で癒しているのを発見したことに由来する。それから1200余年の年月が流れ、いつしか湯郷温泉は「白鷺の湯」とも呼ばれるようになった。

 

温泉街の南端には、そんな白鷺にちなんだ名所がある。湯郷地区外縁を流れる吉野川に架かる「ゆ~らぎ橋」の大噴水だ。指定された各時刻(※)になると、橋の中央部から約20分間噴水が勢いよく噴き上がる。その高さは歩道橋から約15m、幅は約27mにも及び、ちょうど白鷺が羽を広げたような形をしている。

 

山の端に陽が吸い込まれると、大噴水ではライトアップがはじまる。噴き上がる水には赤、青、黄色を基調にした鮮やかな光が投射され、澄んだ川面にその姿が幻想的に映しだされるのだ。まるで真珠色の白鷺が羽ばたいているかのように美しい光景である。

 

※「ゆ~らぎ橋鷺の大噴水」が噴き上がる時間
10時~、12時~、14時~、15時~、16時~、17時~、18時~、
19時~、20時~、△21時~(△夏季のみ)

 

※「ゆ~らぎ橋鷺の大噴水」がライトアップされる時間
(夏期)19時~、20時~、21時~
(冬季)17時~、18時~、19時~、20時~
(噴水は約20分間。天候や季節によって変更あり)

 

 

(「湯郷温泉ゆーらぎ橋」 絵と文 井上晴雄) ※当絵画は平成26年、湯郷温泉観光案内所 に寄贈しました

絵画「天竜浜名湖鉄道の列車、国登録有形文化財の天竜川橋梁を行く(「旅の眼」掲載」)」 絵と文:井上晴雄

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「天竜浜名湖鉄道の列車、国登録有形文化財の天竜川橋梁を行く」<br />
                  絵と文 井上晴雄

「天竜浜名湖鉄道の列車、国登録有形文化財の天竜川橋梁を行く」
                  絵と文 井上晴雄

静岡県を走る天竜浜名湖鉄道の西鹿島駅から秋葉街道に沿う道をしばらく北上すると、天竜川と交差した。天竜川の澄んだ水は瀬音を立てながら遠州灘に向かって優雅に流れ、時おり飛沫が川面をキラキラ煌めかせている。下流方向には雄大な橋が浮かび上がっていた。長さ403mの天竜川橋梁である。橋の上には天竜浜名湖鉄道の線路が東西に延びていた。

天竜浜名湖鉄道は静岡県の新所原から掛川までの66.7kmを結ぶローカル線だ。その前身は昭和15年に開通した国鉄二俣線。旧国鉄の第二次廃止対象特定地方交通線になったことで、昭和62年に第三セクター鉄道として再スタートをきった。それから四半世紀近い月日が流れた現在、天竜浜名湖鉄道は地元の人々の通学や通勤の足として欠かせない存在となるとともに、観光鉄道としても注目されるようになった。浜名湖や茶畑が展開する美しい車窓風景の魅力は然ることながら、沿線の主要施設36カ所(平成24年現在)が国の登録有形文化財に指定されていることも観光客たちの関心を集めているのだ。天竜川橋梁もそのひとつで、鋼製七連橋桁と三連トラス橋からなるそのたたずまいには、昭和16年竣工当時の面影が残る。

無数の小石が連なる天竜川の河畔に陽光がやさしく差しはじめた時刻のことだった。「ガタンゴトン、ガタンゴトン」。山峡の風を割るようにレールを軋ませる音が渓谷に鳴り響き、白い一両編成の車両が青空の下に現れた。天竜浜名湖鉄道の列車だった。川面にその姿が映しだされたかと思うと、見上げる橋梁の上を力強く駆け抜けていった。

一瞬の出来事だった。列車が走り去ってしまうと、天竜川の瀬音だけを残して、また静けさが渓谷を包み込んでいった。大人になって忘れかけていた感動のかけらを思い出したような気がふとして、心地よい余韻に浸りながら列車が過ぎ去った橋梁をずっと眺めていた。

絵画「湯原温泉 砂湯」(岡山県真庭市) 絵と文 井上晴雄

絵画「湯原温泉の砂湯」

 

 

 


          「湯原温泉 砂湯」

                                      絵画と文 井上晴雄

 

湯原温泉は、奥津温泉、湯郷温泉と並び、美作三湯のひとつに数えられている温泉地。古来より湯治場として栄え、15の源泉からは毎分6000リットルもの温泉が自噴している。

 

湯原温泉の名物といえば、湯原ダムの真下にある「砂湯」がまず挙げられる。「砂湯」は、無料の共同露天風呂で、蒜山高原を源に発する旭川の川床から、砂を噴きながら湯が湧きだしている。昭和56年、旅行作家の野口冬人氏が行司をつとめた「全国露天風呂番付」にて、砂湯は、「西の横綱」にランク。その優れた公共性や周囲環境などが高く評価され、一躍、その名が全国に広まった。

 

湯原温泉の湯は、無色透明のアルカリ性単純温泉。肌にやさしく「美人の湯」とも称され、神経痛や冷え症など幅広い効能があるとされている。 湯原温泉の場所   ※「砂湯」の河岸には、温泉宿「八景」がそびえる。 →地図(岡山県 湯原温泉) 温泉宿「八景」人気のロールケーキ「八景ロール

 

(「砂湯のある風景」/絵と文:井上晴雄) ※当絵画は平成27年、湯原温泉ミュージアムに寄贈しました 


絵画 「渓谷の朝」 兵庫県宍粟市 絵と文:井上晴雄

絵画「渓谷の風景」 

                   「渓谷の朝」兵庫県宍粟市 

                           絵と文 井上晴雄.

 兵庫県揖保川の上流は、ゴロゴロとした岩場がつづく深い山のなかだった。瀬音が、渓谷に絶え間なく響きわたり、そこにはエメラルドグリーンに澄んだ水が、白い飛沫をあげながら流れていた。

陽が昇るにつれ、渓谷に、朝陽が差し込みはじめた。やわらかな光が川面を照らし、万物の生命が躍動しはじめる

  途方もなく長いときをかけて磨かれた、自然界の姿。寸分の狂いもなく、到底、人間では及びつきそうにない神秘的な空間。風が吹けば、木々がなびき、水はただ、一心に海に向かって流れていく。

そこには、一切の欲もない。

私たちは、自然に育まれそのなかで学ぶことが多くあるものだ。そのリズムのなかに身を任せながら 社会に善をもたらす人になりたいと思った。

(2008年制作/「渓谷の朝」/ハリマ農協(兵庫県一宮町)所蔵/絵と文 井上晴雄.)

絵画 「春の川」    絵と文:井上晴雄

絵画「春の川」/風景

 

                                             「春の川」 

                                                                         絵画と文:井上晴雄。
「春の川」   数年ぶりに、このまちに訪ねた。かつて雪に覆われていた山々は、すっかり春の景色に様変わりしていた。澄みきった空からは、野鳥が遊ぶ声が聞こえてくる。  里山の小径を辿っていくと、風のそよぎのなかに、太陽のようにまぶしく咲き誇る、菜の花の畑があらわれた。中央には、清らかな川が、水飛沫をあげながら流れている。心地よい瀬音とともに、降り注ぐ春陽光に包まれる。うっとりとしているうちに、はっと我に返った。  いつしか、都会で休まずに日々を送っているうちに、私はこの春の到来にさえ気がついていなかったのだ。知らないうちに、冬は過ぎ去っていた。  自然が教えてくれた、この美しい春の光景を綴っておこう。そう思い、筆をとった。
   

(井上晴雄 絵画 作品集/2008年 4月制作/兵庫県/国内旅行/F10号/絵画と文/旅/旅行)        
    

井上晴雄の絵画を使った銘菓「黒豆ラングドシャ」好評発売中です

井上晴雄の絵画を使った銘菓「黒豆ラングドシャ」好評発売中です

井上晴雄の絵画「黒豆畑と青空」が 、チョコレート菓子「黒豆ラングドシャ」のパッケージになりました。黒豆の粉をまぶしたビスケット風の生地に、ほんのり甘いミルクチョコレートが入っているお菓子です。

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お菓子のフタを開けたら、内パッケージに印刷されている当絵画が現れるようになっています。黒豆畑の風景を描いた絵画を眺めながら、お菓子の美味しさをゆっくりと味わっていただければという、思いを込めています。

以下、「黒豆ラングドシャ」を販売している実店舗です(2013年7月現在)





・荒湯観光センター(新温泉町 土産屋)
・株式会社井筒屋(新温泉町・旅館)
・株式会社朝野屋(新温泉町・旅館)
・但馬牧場公園(新温泉町・施設)
・ハートイン福知山(京都府福知山市・キヨスク)
・株式会社ドライブインやくの(京都府福知山市・ドライブイン)
・株式会社フレッシュあさご(兵庫県朝来市・道の駅)
・株式会社HOTEL KOSHO(兵庫県豊岡市・ホテル)
・ドライブインやまがた屋(京都府・ドライブイン)

   (以上 敬称略)

(販売元)但馬寿 遊月亭

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