絵画「東京タワーとレインボーブリッジの夜景」
絵画と文 井上晴雄
空気が澄んだ日、西陽が高層ビル群の向こうに吸い込まれると、東京の空は、茜色に染まっていった。テレコムセンター展望台の窓外に目を遣ると、東京タワー(※1)が薄暮のなかに浮かびあがり、レインボーブリッジ(※2)が淡い白色にライトアップしていた。その先には、まちの明かりが、真珠のようにポツリポツリとともっていく。
テレコムセンター展望台から眺望する東京の夜景は「日本夜景遺産」(※3)に登録されている。
どの方角に目を向けても、心を潤してくれる夜景を俯瞰できるのが特徴だ。なかでも、北方向に広がる夜景はそのハイライトだといえる。東京タワーやレインボーブリッジといった東京を代表するランドマークを中心に大都市のあかりが広がるさまは、言葉で言い表せないほどうつくしい。
まちが夕闇に包まれると、都心は一層、輝きを増してくる。まるで星々が天空から降ってきたように、キラキラと無数のイルミネーションがまたたくさまは、いつまで眺めても飽きがこない。それらのあかりひとつひとつには、東京の歴史やそれを紡いできた人々の切なる思いが込められているような気がして、どこまでも深い感動を覚える。
※1「レインボーブリッジ」
1993年(平成5年)、お台場と芝浦ふ頭間に開通した吊り橋。橋長は798m、塔高126mを誇る。上下
2層構造で、高速11号台場線、臨海道路、臨海新交通システム(ゆりかもめ)が走る。ライトアップは日没から24時まで。主塔のライトアップは2パターン(4~10月は白色、11~3月は温白色)あり、ケーブルは、白、緑、ピンクなど、日時により色調がさまざまに変化する。
※2「東京タワー」
東京タワーは、1958年(昭和33年)の完成以来、東京のシンボルとして愛されてきた。高さは333mを誇り、日没~24時にライトアップ。近年は、その色彩パターンが増えた。通常のライトアップ「ランドマークライト」は180個の電球で2パターンの色調がある。夏はメタルハライドランプを使った白色ベースで、春秋冬は高圧ナトリウムランプを使ったオレンジ色だ。それに加え、2008年、新ライトアップ「ダイヤモンドヴェール」も導入。ダイヤモンドヴェールは青色やピンク色ほか7色の色彩に、「希望」「永遠」などメッセージが込められている。
※3「日本夜景遺産」
夜景に「芸術性の高さ」や「文化的要素」などを有し、指定された選定基準を全て満たす夜景名所が、「日本夜景遺産」に認定されている。各認定地には、夜景の魅力を国内外に訴求し、今後の観光業界を盛り上げる役割も期待されている。