絵画「宿毛湾の夕暮れ」
「宿毛湾の夕暮れ」 絵と文 井上晴雄
高知県西南部を走る土佐くろしお鉄道。終点の宿毛駅で列車を降り、西へ30分ほど歩を進めると、ちいさな港町が広がった。宿毛湾には昔ながらの養殖棚や漁船が連なっている。
夕陽を観ようと、大島の外周にのびる小径をぐるりと歩いていくと、西陽が赤々と道を照らしはじめた。岬の上に数羽の海鳥が舞いシルエットになって消えていく。
神社や雑木林を過ぎ、道が途切れたとき、目の前には太平洋が広がった。浜辺に打ち寄せる波が金色に輝いている。空には雄大な夕焼雲が流れ、何ともいえない平和で穏やかなひとときが過ぎていった。
木々の葉や枝が茜色に染まり、夕風が通いはじめると、多くの色彩は深い木立に吸い込まれ、太陽はだるま状になって水平線に沈んでいった。
(2022年制作/F12号水彩/絵と文 井上晴雄)















