絵画「宿毛湾の夕暮れ」

「宿毛湾の夕暮れ」 絵と文 井上晴雄

 

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高知県西南部を走る土佐くろしお鉄道。終点の宿毛駅で列車を降り、西へ30分ほど歩を進めると、ちいさな港町が広がった。宿毛湾には昔ながらの養殖棚や漁船が連なっている。


夕陽を観ようと、大島の外周にのびる小径をぐるりと歩いていくと、西陽が赤々と道を照らしはじめた。岬の上に数羽の海鳥が舞いシルエットになって消えていく。


神社や雑木林を過ぎ、道が途切れたとき、目の前には太平洋が広がった。浜辺に打ち寄せる波が金色に輝いている。空には雄大な夕焼雲が流れ、何ともいえない平和で穏やかなひとときが過ぎていった。


木々の葉や枝が茜色に染まり、夕風が通いはじめると、多くの色彩は深い木立に吸い込まれ、太陽はだるま状になって水平線に沈んでいった。

(2022年制作/F12号水彩/絵と文 井上晴雄)

絵画「千歳・支笏湖氷濤まつり」 ~色とりどりの光に輝く支笏湖湖水でできた氷像群~

         

  「千歳・支笏湖氷濤まつり」

 

  

 

 ~色とりどりの光に輝く支笏湖湖水でできた氷像群~

 

      絵と文 井上晴雄

 

 

 千歳市の南西部に広がる、日本屈指の高い透明度を誇る湖、支笏湖。「日本最北の不凍湖」としても知られる淡水湖である。その澄んだ湖水は淡いブルーを帯びていることから「ナチュラルブルー」とも称される。 

 

 

 

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 支笏湖の湖畔では、毎年1月下旬から2月中旬にかけて、支笏湖の湖水を凍らせた氷像群による光と氷の祭典「千歳・支笏湖氷濤まつり」が開催される。「千歳・支笏湖氷濤まつり」の会場となる支笏湖の湖畔へは、千歳市街から道央道を16号経由で西へ30kmほど。

 

 

 

「千歳・支笏湖氷濤まつり」の会場に訪れた日、白樺やエゾマツの林を縫い支笏湖畔にたどり着いた頃には、辺りはすっかり夕闇に包まれていた。薄暗がりを抜けていくとその先に、色とりどりの光に輝く巨大な氷像群が目に飛び込んできた。

 

 

 

黄色、ピンク色、水色・・色鮮やかな光が、透きとおった氷のモニュメントに投射され、やさしく光り輝いている。そのなんともいえないメルヘンチックな光景はあまりに美しく、底冷えする寒さも忘れしまうほどだった。

 

 

 

「千歳・支笏湖氷濤まつり」の会場に並ぶ氷像群は前年11月よりその骨組みがつくられる。12月になると、スプリンクラーを使って支笏湖の湖水をそれらに吹きつけ凍らせていく作業が行われる。その丹念な作業の繰り返しにより、巨大な氷像群が形づくられていくのだ。

 

 

 

「千歳・支笏湖氷濤まつり」の会期中、完成した氷像群は、昼は淡いブルーに輝き、日が暮れると芸術性を感じさせる幻想的なムードで来場者を迎えてくれる。その美しい光景に見とれているうちに、天空からはしんしんと雪がやさしく舞いはじめた。

 

2015年「千歳・支笏湖氷濤まつり」DATA

 

 

 

 

 

(2015年の会期)2015年1/30日~2/22日

 

(開催時刻)9:00~22:00(ライトアップは16:30~)

 

(場所)支笏湖温泉(北海道千歳市)地図
(交通)車:道央道「千歳」ICから道道16号経由で25km40分
バス:JR「千歳」駅から北海道中央バス「支笏湖行」で約44分、支笏湖バス停下車徒歩5分
バス時刻表

(楽天トラベル)支笏湖温泉の旅館・ホテル一覧

※当絵画は、2014年、千歳観光連盟に寄贈しました

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絵画「城崎温泉の雪景色」(兵庫県豊岡市城崎町) 絵と文:井上晴雄

城崎の冬(絵画/風景)

「城崎温泉の雪景色」兵庫県豊岡市城崎町)

 しんしんと雪が舞いはじめるこの季節、冬ならではの趣がある温泉であたたまりたい もの。この時期の私のおススメは、但馬の山間に湧く城崎温泉である。城崎温泉は1300 余年の歴史を持ち、まちをそぞろ歩きながら湯のまち情緒を味わえる温泉なのだ。  城崎温泉の楽しみのひとつに、外湯巡りがある。温泉内には7つの外湯(共同浴場) が点在し、まちを散策しながら、それらを巡ることができる。夕暮れになると、浴衣姿 の湯客たちが、カラコロと下駄を鳴らしながら宿を出発する。まちには木造の老舗旅館 が並ぶほか、志賀直哉や島崎藤村など文人墨客らの文学碑も点在し、文学的な香りも感 じさせる。柳通りに出ると、太鼓橋のかかる大谿川の川面には、ライトアップされた温 泉街が映しだされている。そのさまはあまりに幻想的である。  城崎温泉の湯はナトリウム・カルシウム-塩化物・高温泉。まろやかで、湯冷めしに くいのが特徴だ。外湯巡りで心も体も癒されたあとは、宿でカニ料理も味わってみたい 。城崎温泉は日本海に近く、新鮮で身の引き締まった松葉ガニは特に絶品である。                                          (絵画と文 井上晴雄)

絵画「氷見の朝陽」 富山県氷見市  絵と文:井上晴雄

絵画「氷見の朝陽」/風景

「氷見の朝陽」(富山県氷見市)

絵画と文:井上晴雄。

氷見は富山県西部に位置するちいさな港町。雨晴海岸を窓外に、列車が終点の氷見駅に着いたのは、まだ朝の早い時間だった。薄暗いプラットホームに降り立ったのは、ただ私だけ。寒々とした風がビュービューと頬を突き刺し、思
わず身震いした。
 積もる雪を踏みしめながら、静まり返るまちを抜けていくと、鈍色の海が見えてきた。防波堤に打ち寄せた波が、冷たい飛沫を散らして、霧のようになってかかってくる。

 そのときだった。鈍色の雲の切れ間から、朝陽が差し込んできた。まばゆいばかりの光の渦は、虹色の光線となり、ちいさな漁業のまちにやさしく降り注いだ。海に流れ込む川はそれを反射してキラキラ輝く。そして、厚く覆われた雪をゆっくりと溶かしていったのだった。

 沖は明るく、海鳥がヒュルリヒュルリと鳴きながら旋回している。春がやってきた。

(F10号/国内旅行/富山県氷見市/旅行/2008年3月制作/井上晴雄 絵画と文   作品集/風景)

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絵画「津軽海峡の朝陽」(北海道) 絵と文 井上晴雄

絵画「津軽海峡の朝陽」/風景

           「津軽海峡の朝陽」絵画と文:井上晴雄。

     青函トンネルを抜けた列車は、北海道に入った。雪を被ったなだらかな山々と小さな田畑の先に、海が見え隠れしはじめる。JR木古内駅付近にさしかかったとき、鈍色の空からほのかな光が、差し込んでいるのが見えた。どことなく懐かしい思い出がよみがえり、途中下車した。   改札口を出ると、厳しい風雪が吹き荒れ、まちは厚い氷に閉ざされていた。あまりの寒さに身震いした。このまま駅に戻ろうかと思ったものの、空の光をたよりに、雪を踏みしめながら、浜辺のほうに歩いていった。  烈風に逆らって砂浜に出ると、その向こうに、明るい海が広がっていた。静かに打ち寄せる波がキラキラ輝き、沖はやさしい光に包まれていた。一艘の船が、ゆったりと弧を描いて進んでいる。気がつくと、寒さを忘れて、その穏やかで美しい光景に見入っていた。それは、凍てつく北海道の冬だからこそ、より一層、あたたかく掛けがえのないものに感じたような気がする。  現代の社会では、私たちの一生は、順風満帆に進むのがよしと考えられがちである。しかし、私は、それが必ずしも良いとは限らないように思う。むしろ、困難や試練に直面するからこそ、ちいさな幸せにより大きな幸せとして味わえる機会もあるような気がするからである。例えば、風雪のなかで見た、この朝陽のように。

「津軽の海」(2008年1月制作/風景/絵画と文:井上晴雄。/F10号)


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井上晴雄の絵画を使った銘菓「黒豆ラングドシャ」好評発売中です

井上晴雄の絵画を使った銘菓「黒豆ラングドシャ」好評発売中です

井上晴雄の絵画「黒豆畑と青空」が 、チョコレート菓子「黒豆ラングドシャ」のパッケージになりました。黒豆の粉をまぶしたビスケット風の生地に、ほんのり甘いミルクチョコレートが入っているお菓子です。

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お菓子のフタを開けたら、内パッケージに印刷されている当絵画が現れるようになっています。黒豆畑の風景を描いた絵画を眺めながら、お菓子の美味しさをゆっくりと味わっていただければという、思いを込めています。

以下、「黒豆ラングドシャ」を販売している実店舗です(2013年7月現在)





・荒湯観光センター(新温泉町 土産屋)
・株式会社井筒屋(新温泉町・旅館)
・株式会社朝野屋(新温泉町・旅館)
・但馬牧場公園(新温泉町・施設)
・ハートイン福知山(京都府福知山市・キヨスク)
・株式会社ドライブインやくの(京都府福知山市・ドライブイン)
・株式会社フレッシュあさご(兵庫県朝来市・道の駅)
・株式会社HOTEL KOSHO(兵庫県豊岡市・ホテル)
・ドライブインやまがた屋(京都府・ドライブイン)

   (以上 敬称略)

(販売元)但馬寿 遊月亭

絵画「明るい海が広がる」 絵と文:井上晴雄

絵画「明るい海が広がる」/風景

薄暗い山道を下っていくと 

木々の隙間から 

明るい海が広がった

沖にはまるで粉雪が舞い落ちるように
やさしい光が 

サラサラと降り注いでいた

(作品 絵画と文:井上晴雄./水彩画/F8号/2007年制作)

「安芸の海」絵画の説明

 鬱蒼と茂る山道を下っていくと、うねる木々の隙間から、夕照の安芸の海が広がった。沖には、一艘の小舟が、船尾を引きながら、ゆったり浮かんでいた。やさしい風と共に、仄かな光が、天から舞い降りてきた。

 光の先には、ちいさな島々と四国が横たわっている。かつて人々は、沖を眺めながら、一生のうちに、四国巡礼をしてみたいと、ロマンを抱いたという。生活は貧しかったけれど、心は豊かだった時代。
現代は、交通網の発達やスピード化により、何百キロ離れている土地へでも、容易に行き来できるようになった。確実に、社会は豊かになった。しかし一方で、大切な何かを失った気がする。
鳥の声、木々にそよぐ風、海の輝き、人のぬくもり・・そんな一見、何でもないことや、スローで不便であることに、案外、幸せのかけらがあったのかもしれない。


 

□中国・山陰地方の旅行ガイドはコチラから

                       
                   

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「冬の川」

 絵画「冬の川」「冬の川」 水彩F6号 絵と文:井上晴雄。


        
「冬の川」作品説明

厳しい寒さが大地を覆い尽くした日。空はどこまでも鈍色に
凍りつき、まちは、見あげるほど深い雪に閉ざされていた。

まちのなかに、ちいさな川の流れがあった。厚い樹氷が河岸の木々を覆い、
それらは厳しい風雪に耐えた跡のようで、切なく思えた。

 河岸に降りたつと、凍っているかのように見えた川に、清らかな水が
軽やかに流れていた。そのさまは、まるで時を奏でるオルゴールの音色の
ように美しく優しかった。脇には、春の草の芽が顔を出しはじめていた。
冬の川は雪に埋もれながら、春の準備をしていたのだ。

 ときが経てば、必ず季節はめぐりゆく。川が流れるように、真実に過ごして
いれば、どんなに長い冬にも必ず春は訪れる。

  川は絶え間なく流れ、大地の氷を溶かしていく。
 大地は生きている。
 私たちも生きている。
 冬の川は、大きな幸せを呼んでくれる。

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・「小樽運河の冬」

絵画「小樽運河の冬」/風景「小樽運河の冬」 水彩F4号 絵:井上晴雄

「小樽運河の冬」              絵と文 井上晴雄. 来る日も来る日も降りつづいた雪がようやくやんだ。小樽運河に出ると、大気は澄みわたり、辺りはしんと静まりかえっていた。ガス灯のあかりを受けて、雪景色が幻想的に浮かびあがり、重厚な石造倉庫群とともに、鏡のような水面に映しだされていた。  小樽は、石狩湾に面し、古くから港湾都市として発展したまち。明治時代から大正時代にかけて、豪商たちが倉庫を構え、世界への門戸が開かれていたことでも知られる。大正12年(1923年)に完成した小樽運河は、艀(ハシケ)とよばれる小型船が、小樽港の本船からの貨物を運ぶためにつくられた運河だ。  今ではその役割を終えたものの、小樽運河はその当時をしのぶレトロな街並みを水面に映しながら、旅人たちに、小樽の歴史を、優しく語りかけているのである。

(小樽の情報) →小樽の観光スポット  →小樽の宿(人気順) 小樽のご当地グルメ

「厳島神社冬化粧」

 「厳島神社冬化粧」水彩画/F8号 絵と文:井上晴雄.
絵画「厳島神社の冬景色」風景

   「厳島神社雪化粧」作品説明

 

しんしんと降りつづけた雪は、夜通し止まなかった。早朝、宮島に渡ると、社殿は雪で覆われ、凛として佇んでいた。背後の山々には霧が流れ、ただ静かなときが、流れていた。

 

広島県廿日市市に浮かぶ宮島は、日本三景に数えられており、古来より神として信仰の対象となってきた島である。宮島の入り江には、ユネスコの世界文化遺産に登録されている厳島神社が建つ。約1400年前、地元の豪族であった佐伯氏が、御笠浜に社殿を建てたのが起源で、平安時代末期に、平清盛が、現在の社殿を造営したと伝えられている。宗像三女神を祀る。

 

社殿を眺めているうちに、深遠な気持ちになった。造営に携わった人々は、とうの昔に墓に眠っている。しかし、建物を通して、彼らの意志が時代を超えて、ひしひしと伝わってきたのだ。一族の栄華を超越して、後世を豊かにしようという切なる思いが。

 

時というやさしい粉雪が、今も静かに降り積もっていた。

 

                                     

 

作 井上晴雄。

 

      

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