絵画「大魚神社の海中鳥居と朝陽」
「南阿蘇鉄道のトロッコ列車」
南阿蘇鉄道は、1985年に旧国鉄高森線を引継ぎ誕生した第三セクター鉄道である。阿蘇山を縫って走る壮大な車窓風景が美しいことで長らく人気を博してきた。
ところが2016年に起きた熊本震災で同線は被災。崖崩れによる線路崩壊や橋の崩落、トンネルへの土砂の流入などに見舞われ、全線不通になった。それから歳月を経て、現時点で中松駅〜高森駅間7.1kmが部分復旧している。立野駅〜中松駅間10.6kmは依然不通であるものの、2023年を目標に全線復旧を目指して工事が行われている。沿線に住む住民たちのためにも最後まであきらめない姿勢に力強さを感じ心打たれた。
3月末にもなると中松駅のホームは淡い春色に包まれる。駅舎に沿って並ぶ桜の木々にはほのかなピンク色をした花々が咲き誇り、人々の心をほころばせてくれる。
(「南阿蘇鉄道のトロッコ列車」絵と文 井上晴雄/f10水彩)
「有明海干潟の朝陽」
佐賀県の最南端に位置する太良町に訪れた。目の前には有明海が広がっている。有明海といえば日本最大級の干潟を有する海として知られている。潮の満ち引きによる水位差は6mにも及び、刻一刻と景色が変化していく。前日の夕方は海中にあった浅瀬も翌朝になると潮が引いて泥で覆われていた。
沖には一艘の漁船が長い白波を引きながらのんびり巡航している。霞む雲の下には有明海苔を養殖する海苔網支柱群が一列に並んでいるのが見えた。朝陽が昇るにつれ、干潟の泥は光を受け陰影をつくりながら幻想的に輝き、海面は淡い茜色に染まっていく。今日も希望にあふれる一日がはじまる。
(「有明海干潟の朝陽」/F10号水彩画/絵と文 井上晴雄)
当絵画は、福岡県糸島市の海岸を描いた一枚である。糸島市は福岡市の中心部から西に 20 ㎞ほど。樹木がうねるちいさな農村地帯を抜けると、目の前には広々とした玄界灘が広がった。
「糸島の夕景」
(絵画「糸島の夕景」F15号 水彩画 /2019年 井上晴雄 作)
かつて炭鉱で栄えた路線、JR日田彦山線を旅する
久しぶりに九州にやってきた。北九州市の小倉駅に着くと大分県の日田へ向かう二両編成の気動車がホームの端から出発しようとしていた。
静かな森林を抜けると
夜空に 無数のホタルが舞っていた
それは 心躍る夢の世界
悲しみも 淋しさも
すべては光のなかに溶け込んでいく
森林の幸せを願いつづける 優しい光の渦に
(作品:F8号 2007年7月制作 /夜景鑑賞士(夜景検定)一級/絵画と文:井上晴雄。/昆虫のいる風景//旅行/旅)
「ホタルの夜」 絵文:井上晴雄。
静かな渓流の音にさそわれ、森のなかに入っていくと、暗がりのなか、ポツンポツンとホタルの灯があらわれた。ともったかと思うと消え、消えたかと思うとともる
ちいさな光ひとつひとつが 夜の闇をほのかに滲ませ、まるで星屑のように、森を彩っていた。
かつて日本では、そんな、ホタルの飛び交う光景が、田畑の至るところに見られたという。水はどこまでも澄みきり、まちは、豊かな緑や花々に彩られていた。しかし、近年、そんなホタルの光景はめっきり見られなくなってしまった。工業地帯や住宅地が広がり、田畑や山々は埋められてしまったのだ。
時代の流れとともに、人間は、ものの豊かさを享受してきた。しかし、その一方で、失ってきたものもある。そろそろ、失ったものを取り戻さなければならないのではないだろうか?ホタルが住める美しい川、それもそのひとつであろう。
宝石を散りばめたような
まちの灯りを見ながら ふと思った
生きるとは
心のなかに 想い出という灯で
かけがえのない夜景を つくることではないか
「長崎の夜」 長崎県長崎市
絵と文:井上晴雄
1945年(昭和20年)8月9日午前11:02。上空を飛ぶ一機の飛行機から、長崎市内に向けて原子爆弾が投下された。爆弾は、長崎市の中心部から約3km離れた浦上地区において炸裂。閃光とともに上空にキノコ雲が上がった。爆風と灼熱地獄がまちを襲い、一瞬にして、市内の建物の36%が全燃・倒壊、7万2千人もの尊い命が失われた。辛うじて生き残った人々にも、その後、放射能を帯びた死の灰と雨が降り注ぐこととなる。人々は絶望の底に沈み、まちは暗闇に包まれた。
終戦から約60年の年月が経つ日、私は、長崎市内を望む稲佐山に登った。鬱蒼と茂る木々の並びを抜けていくと、目の前に、煌めく無数の灯りの渦が広がった。あまりの美しさに立ちすくんだ。
その夜景を眺めたとき、長崎が、原子爆弾の被災地だということを一瞬忘れてしまった。その明かりの数々は、優雅そのものだったからだ。ただ紛れもなく、長崎市の戦後は、あの一瞬からはじまった。無言でキラキラ輝くその光の渦を見たとき、涙が止まらなかった。暗闇に包まれた死のまちから、ここまで辿りつくまでには、想像を絶する労苦があったに違いない。この明かりは、60年という歳月をかけて、人々が手と手を取り合ってまちを復興させてともした、命の明かりなのだ。
現代は、衣食住が当たり前に提供される時代となり、戦争は、昔話として風化されつつある。しかし、私たちは、戦争でたくさんの大切なものを失ったことを忘れてはならない。また、今現在も その後遺症で苦しんでいる方が多数おられることも知っておかねばならない。
長崎の夜景を見渡しながら、この美しい明かりを二度と消してはならないと思った。
世界に恒久の平和が訪れるよう、祈りを込めて絵筆を強く握りしめた
(作品:2007年8月制作/F12号/長崎県長崎市/夜景鑑賞士(夜景検定)1級/絵画と文:井上晴雄/風景)
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