(2025年 展示のご案内)

2025年 2月15日(土)~2月19日(水)

(仏)ル・サロン2025

場所:フランスパリ・グランパレ

入選作「新緑と渓流の輝き」の出展

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2025年 2月24日(火)~3月2日(日)

「井上晴雄 絵画展~日本の原風景を求めて~」 

場所:京都伊勢丹10Fアートスペース

夕陽、農村、鉄道、桜ほか日本の旅風景を描いた絵画25点の展示販売

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2025年パリ 国際公募美術展ル・サロン(LE SALON)に絵画「新緑と渓流の輝き」が入選

<2025年パリ 国際公募美術展ル・サロン(LE SALON)に絵画「渓流と新緑の輝き」が入選>

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フランス・パリ市内にて開催される 「ル・サロン展」 (LE SALON )に絵画「新緑をゆくトロッコ列車」が入選しました(3年連続5回目の入選)。

2025年会期

2月15(土)~2月19日(水)
会場グラン・パレ(Grand Palais )
住所:3 Avenue du General Eisenhower, 75008 Paris , フランス
最寄駅:シャンゼリゼ・クレマンソー (Champs-Élysées - Clemenceau )

(出展作品)

赤沢自然休養林は、長野県木曽郡上松町に位置する日本三大美林のひとつ。針葉樹を中心に豊かな緑に覆われて森林浴発祥の地ともいわれている。若葉が華やかに山を彩る季節。遊歩道をひた歩いていくと、山中より心地よい瀬音が響いているのが聞こえてきた。渓流の音だ。岩壁の裾を洗いながら、まるで糸の束のように水が流れていく。その水はどこまでも澄みきり、川底の小石が透けて見えている。川面には木々の緑が映しだされ、木漏れ日が水しぶきをキラキラ輝かせていた。

※ルサロン(Le salon)は1667年にルイ14世の提言により創設された世界最古の国際公募展。モネ、ミレー、セザンヌ、ルノワールらが活躍した歴史もあります。2025年はフランス芸術家協会の主催でフランスパリにある「グラン・パレ・エフェメール」で2月15日(土)~2月19日(水)に開催されます。

(絵画「新緑と渓流の輝き」絵と文:井上晴雄/F10号水彩/2024年制作)

 

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(仏)「サロン・ドートンヌ展 2024」(SALON D’AUTOMNE)に絵画が入選しました

フランス・パリ市内にて開催される 「サロン・ドートンヌ展」 (LE SALON D’AUTOMNE 2024)に絵画「新緑をゆくトロッコ列車」が入選しました(3年連続4回目の入選)。

 

(仏)「サロン・ドートンヌ展 2024」

会期:2024年10月23日(木)~10月27日(日)

会場:フランス パリ・シャンゼリゼ大通り特設展示会場(コンコルド〜プティパレ間)

時間:木・金:11時~19時、土・日11時~21時(最終入場は閉館の30分前)

交通:メトロ1号線-ChampsElyséesClemenceau駅 より バス路線 42・73・83・93

サロン・ドートンヌ展は1903年よりはじまったフランスパリ市内で催される展覧会で、かつてはマチス、ピカソ、セザンヌ、ブラック、藤田嗣治らが活躍したことでも知られています。

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(出展作品)「新緑をゆくトロッコ列車」

この絵画は、かつて日本の長野県を走っていた木曽森林鉄道のトロッコ列車を描いたものだ。木曽森林鉄道は1916年、ヒノキなど木材を運搬することを目的につくられた。山間にまるで網の目のようにレールが張り巡らされ、路線の総延長は400km以上に及んだと伝えられている。その役割は、時代を経て、木材の運搬に加えて、山林に住む住民の足としても重要な存在になっていった。

しかし、自動車産業の発達や道路の整備により、木材の運搬は鉄道輸送からトラック運送へと変遷していった。そして、1975年、たくさんの人に惜しまれながらも木曽森林鉄道は廃線となった。春が来ると、日本の山々は新緑に包み込まれる。

森林には木漏れ日がやさしく差し込み、梢には野鳥の声がこだまする。そんな風景のなかを木曽森林鉄道のトロッコ列車は木材を乗せて走り抜けていた。その往年の姿を私は絵画で再現した。

Trolley Train Running through Fresh Greenery

This painting features a trolley train of the Kiso Forest Railway, which once ran in Nagano Prefecture, Japan.The Kiso Forest Railway was established in 1916 to transport cypress and other timber.The rails were stretched out like a mesh between mountains, and the total length of line is said to have been more than 400 km. Over time, the railroads became valuable not only for transporting lumber, but also as a means of transportation for residents living in the mountains and forests.

However, with growth of automotive industry and development of roads,transportation of lumber shifted from rail to truck.In 1975, with a great deal of regret, the Kiso Forest Railroad was closed down.

In spring, mountains in Japan are covered with fresh greenery.Sunlight gently filters through trees, and wild birdsong echoes through treetops.In such a landscape, trolley trains of the Kiso Forest Railway used to run through the forest with carrying lumber.I recreated such an old scenery of the train in this painting.

(「新緑をゆくトロッコ列車」 /絵と文:井上晴雄/2024年制作/F10号水彩)

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目次 ①[北海道] | ②[東北] | ③[甲信越] | ④[関東] ④[関東]Ⅱ | ④[関東]Ⅲ | ⑤[東海]Ⅱ  |⑤[東海]⑥[北陸] | ⑦[近畿]Ⅰ ⑦[近畿]Ⅱ | ⑦[近畿]Ⅲ | ⑦[近畿]Ⅳ | ⑦[近畿]Ⅴ | ⑧[山陽] | ⑧[山陽]Ⅱ |⑨[山陰] | ⑩[四国] | ⑪[瀬戸内海] ⑪[瀬戸内海]Ⅱ_ | ⑫[九州] | ⑬「その他2」 | ⑬「その他」 | ⑭お台場Ⅰ |⑭お台場Ⅱ | ⑭お台場Ⅲ | ⑮温泉 | ⑮温泉Ⅱ | ⑯美作 | ■JR武豊線 | ■「その他」 | ■「夕陽Ⅳ |■「夕陽」Ⅰ ■「夕陽」Ⅱ | ■「夕陽」Ⅲ | ■「夜景」Ⅰ  | ■「夜景」Ⅱ   | ■「夜景」Ⅲ   | ■「夜景」Ⅳ   | ■「大地」■「山] | ■「山]Ⅱ | ■「川」 | ■「川」Ⅱ | ■「建築物」 ■「建築物」Ⅱ | ■「建築物」Ⅲ | ■「朝陽」Ⅰ ■「朝陽」Ⅱ |■「朝陽」Ⅲ_ | ■「樹木」 ■「樹木」Ⅱ | ■「海」 | ■「海」② | ■「海」③ | ■「湖沼」 | ■「漁村」 | ■「空」Ⅱ | ■「空」 ■「花」 | ■「花」Ⅱ | ■「花火」 | ■「花火」Ⅱ_ | ■「農村」 | ■「農村」② | ■「農村」③ | ■「鉄道」 | ■「離島」 |■「鳥昆虫」 | ■山Ⅲ | ■(その他2) | ■(その他2)Ⅱ | ◇TOPページ | ◇「初冬」 | ◇「初夏」 | ◇「初夏」Ⅱ_ | ◇「初夏」Ⅲ_ | ◇「初春」Ⅱ   | ◇「初春」  | ◇「初秋」Ⅱ  | ◇「初秋」   | ◇出展情報 「旅の眼」 連載記事 | 「旅行作家」 表紙連載 |

井上晴雄 絵画展 2024 in hmc-cafe

井上晴雄 絵画個展 in hmc-cafe

大阪府豊中市にあるカフェ「 hmc-cafe」様にて、期間限定(2024年〜10月1日〜10月31日)で、前回のサロン・ドートンヌ展に出品した絵画1点を含む、絵画8点を展示いたします。もし、お近くの方がいらっしゃいましたらのぞいてみてくださいね。

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<井上晴雄 絵画展 2024 in hmc-cafe>

期間 2024年〜10月1日(火)〜10月31日(木)
場所 hmc-cafe>>hmc-cafeホームページ
交通:阪急宝塚線 庄内駅から徒歩3分
住所:大阪府豊中市庄内東町4-2-15

 

休:毎週月曜休、10/19・20・26日は臨時休業
時間:8:00~18:00(17:30ラストオーダー)

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(仏)「ル・サロン展2024」(LE SALON)に絵画が入選しました

<2024年パリ 国際公募美術展ル・サロン(LE SALON)に絵画「持石海岸の夕景」が入選>

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2024年フランス 国際公募美術展「ルサロン展」に絵画1点が入選しました

◆Facebook(井上晴雄)

◆Instagram(haruo_inoue)

2024年会期
2/14(水)  11:00〜20:00
2/15(木)  11:00〜22:00
2/16(金)  11:00〜20:00
2/17(土)  11:00〜22:00
2/18(日)  11:00〜20:00

 

会場グラン・パレ・エフェメール(Grand Palais Ephemere )
住所:Av. Pierre Loti, 75007 Paris, フランス
最寄駅:シャンゼリゼ・クレマンソー (Champs-Élysées - Clemenceau )

 

<ルサロン2024のご案内>

ルサロン(Le salon)は1667年にルイ14世の提言により創設された世界最古の国際公募展。モネ、ミレー、セザンヌ、ルノワールらが活躍した歴史もあります。2024年はフランス芸術家協会の主催でフランスパリにある「グラン・パレ・エフェメール」で2月14日(水)~2月18日(日)に開催されます。
作品説明

JR山陰本線と石見交通の路線バスを乗り継ぎ、島根県益田市西部にある持石海岸へ赴いた。持石海岸は「三里ヶ浜」とも称される場所で、日本海に面して約12㎞にわたり弧を描くように海岸線がつづいている。

海岸線に白波が打ち寄せるたびに、小石がカラカラと心地よい音を立てていたのが印象的だった。

陽が西に傾くにつれ、海面はより一層輝きはじめ、一帯はゆっくりと茜色に染まっていく。穏やかで心地よい夕暮れどき。空には夕焼雲が流れ、さまざまな色彩が風景のなかに溶け込んでいった。

(絵画「持石海岸の夕景」絵と文:井上晴雄/F10号水彩/2023年制作)

 

 

 

(仏)「サロン・ドートンヌ展 2023」(SALON D’AUTOMNE)に絵画が入選しました

フランス・パリ市内にて開催される 「サロン・ドートンヌ展」 (LE SALON D’AUTOMNE 2023)絵画「新緑の木々と古い電車」入選しました。昨年度に引き続き、連続での入選となります。

◆Facebook(井上晴雄)

◆Instagram(haruo_inoue)

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会期:2024年1月18日(木)~1月21日(日)

時間:木・金:11時~19時、土・日11時~21時(最終入場は閉館の30分前)

入場料:15 €   

会場:

la Grande Halle de La Villette (ラ・ヴィレット グランド・ホール)
211 Av. Jean Jaurès, 75019 Paris
(パリ19区ジャンジュレス大通り211番地)

地図

お問合せ
サロン・ドートンヌ事務局
Tel:+33 1 43 59 46 07

URL:LE SALON D’AUTOMNE 2023・24

サロン・ドートンヌ展は1903年よりはじまったフランスパリ市内で催される展覧会で、かつてはマチス、ピカソ、セザンヌ、ブラック、藤田嗣治らが活躍したことでも知られています。

 

「新緑の木々と古い電車」

この絵画は、1930年代~1970年代に日本の愛知県奥三河を走っていた鉄道車両と新緑の木々を描いた作品である。かつて愛知県奥三河には、豊橋鉄道田口線という鉄道路線があった。本長篠駅と三河田口駅を結ぶ約22.6 kmの路線で、30年以上にわたり地元住民の足としてのほか、木材を運ぶ役割も担っていたと伝えられている。
ところが、林業の衰退、マイカーの普及に加え、台風の被害にも遭ったことから豊橋鉄道田口線は1968年に廃線になった。新緑が美しい季節、私は豊橋鉄道田口線の廃線跡を訪ねて愛知県奥三河に向かった。JR飯田線本長篠駅から大井川に沿う道を歩くこと約40分。さらに、古い地図を頼りに坂道を上っていくと、山の岩盤を貫きトンネルが口を開けているのを見つけた。
 
うす暗いトンネルを抜けていくと、その先には新緑の木々に囲まれてホームらしきものがひっそりと残されているのを発見した。それが、かつて存在していた豊橋鉄道田口線の三河大草駅の跡だと分かった。線路は既に撤去されており、ホームの先は鬱蒼とした草木に覆われて行き止まりになっていた。50年以上前、このホームに鉄道車両が発着していたのを思うと感慨深い気持ちになった。
 
その後、当時の鉄道車両を静態保存する愛知県北設楽町にある施設「道の駅したら」にも訪れた。その上で、豊橋鉄道田口線の三河大草駅に鉄道が発着していた時代の風景を再現したいという思いで、この絵画を制作した。

"FreshGreen Trees and Old Train Car"

This painting features railroad car that ran in Okumikawa, Aichi Prefecture, Japan,from the 1930s to the 1970s, and fresh green trees.There used to be a railroad line in Okumikawa, Aichi Prefecture, called Toyohashi Railway Taguchi Line.It was a 22.6 km railroad line connecting Hon-Nagashino Station and Mikawa-Taguchi Station, and reportedly served as a means of transportation for lumber as well as local residents over a 30-year period.

However,the Toyohashi Railway Taguchi Line was discontinued in 1968 due to decline of forestry industry, popularization of private cars, and typhoon damage.

During the beautiful season with fresh green leaves, I headed to Okumikawa, Aichi Prefecture, to visit abandoned tracks of the Toyohashi Railway Taguchi Line.From Hon-Nagashino Station on the JR Iida Line, I walked along a road next to Oigawa River for about 40 minutes.After walking up a slope by an old map, I found a tunnel opening through the bedrock of mountain.

After passing through the dark tunnel, there was something looked like a platform quietly left behind, surrounded by fresh green trees.This turned out to be site of Mikawa-Okusa Station on the Toyohashi Railway Taguchi Line, which had once existed.The tracks were already removed and the end of platform was a dead end covered with dense grass and trees.I was deeply moved when thinking of the railroad cars arriving and departing on this platform more than 50 years ago.

Then visited " Michi-no-Eki Shitara," a facility in Kitashitara-cho, Aichi Prefecture, which statically preserves railroad car from that era.I made this
painting with a desire to recreate scenery of the era when train used to arrive at and depart from Mikawa-Okusa Station on the Toyohashi Railway Taguchi Line.

(「新緑の木々と古い電車」 絵と文:井上晴雄/F10号水彩/2023年制作)

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絵画「新緑と渓流の輝き」

「新緑と渓流の輝き」

赤沢自然休養林は、長野県木曽郡上松町に位置する日本三大美林のひとつ。針葉樹を中心に豊かな緑に覆われて森林浴発祥の地ともいわれている。

若葉が華やかに山を彩る季節。遊歩道をひた歩いていくと、山中より心地よい瀬音が響いているのが聞こえてきた。渓流の音だ。

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岩壁の裾を洗いながら、まるで糸の束のように水が流れていく。その水はどこまでも澄みきり、川底の小石が透けて見えている。

川面には木々の緑が映しだされ、木漏れ日が水しぶきをキラキラ輝かせていた。

(「新緑と渓流の輝き」絵と文 井上晴雄/F10号水彩/2023年制作)

瀬戸内海に昇る朝陽と鰹

瀬戸内海に昇る朝陽と鰹
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           絵と文 井上晴雄

絵画の舞台は瀬戸内海。松山沖には中島の島影が淡く浮かんでいる。夜明けとともに無数の光が天空に駆け上がり、海面は眩く輝きはじめた。

希望に満ちあふれる朝の到来。そのときを愛でるかのように、鰹たちが海中より勢いよく飛び出し、躍りはじめる。

万物に生命を与える太陽のエネルギー、船が行き交う穏やかな瀬戸内海、そして、鰹のあふれんばかりの生命力を、色彩と線で表現した。

(2022年7月制作「昇る朝日と鰹」F10号水彩)

 

丑池に映る公営住宅群(なつかしの泉北ニュータウン)

丑池に映る公営住宅群(なつかしの泉北ニュータウン)

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今回は私の生まれ故郷である、泉北ニュータウンの風景を描いた絵画である。私は小学6年まで泉北ニュータウンの一角(大阪府堺市南区)で過ごしたが、そこで得た数々の想い出や記憶は、心の拠り所であり、制作の大きな原動力にもなっている。

当時(1970~80年代)は、賑やかで新しいものにあふれていた街並みも、今では老朽化が進み、少子高齢者も伴って人口が激減。団地群の建て替えほか、再開発が進められている。

先日、久しぶりに現地に立ち寄ったところ、泉北高速鉄道 泉ヶ丘駅周辺の工事現場エリアが拡大。想い出のある街並みの一部が、またひとつ更地になっているのを見て唖然とさせられた。

時代の流れで再開発は受け入れざるをえないものの、生まれ故郷の風景が少しずつ壊され消えていくことに淋しさと焦りを感じた。おそらく10年以内、いや、あるいはもっと早い段階で、私の知る風景の多くは、全く違う風景にさま変わりしてしまうことだろう。

今のうちに、泉北ニュータウンを絵に描いて残しておかなければならない。そう強く思った。また、ニュータウンの風景は、日本の高度成長期を象徴する風景でもあり、表現しさまざまな方にお伝えする意義があるともいえる。そこで、そのテーマで急遽制作をスタート。

今回の絵は、泉北高速鉄道の泉ヶ丘駅(堺市南区)の近くにある、丑池周辺の風景である。公営住宅群や緑の木々が、静まり返った池の水面に映りだしている。

(2022年8月制作/丑池に映る公営住宅群(なつかしの泉北ニュータウン)絵と文 井上晴雄/F10号水彩)

フランス・パリ「2022サロン・ドートンヌ展」(SALON D’AUTOMNE)に絵画1点が入選しました

フランス・パリ市内にて開催される2022年度「サロン・ドートンヌ展」(LE SALON D’AUTOMNE 2022)絵画「桜の木々と廃線した蒲原鉄道線の車両入選しました。

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会期:2022年10月21日(金)~10月23日(日)

10月21日(金) 10:00〜20:00
10月22日(土) 10:00〜22:00
10月23日(日) 10:00〜18:00

会場:

la Grande Halle de La Villette (ラ・ヴィレット グランド・ホール)
211 Av. Jean Jaurès, 75019 Paris
(パリ19区ジャンジュレス大通り211番地)

(地図)
地図

お問合せ
サロン・ドートンヌ事務局
Tel:+33 1 43 59 46 07

URL:LE SALON D’AUTOMNE 2022

サロン・ドートンヌ展は1903年よりはじまったフランスパリ市内で催される展覧会で、かつてはマチス、ピカソ、セザンヌ、ブラック、藤田嗣治らが活躍したことでも知られています。

「桜の木々と廃線した蒲原鉄道線の車両 」

この絵画は、1990年代に日本の新潟県五泉市に走っていた鉄道車両と桜の木々を描いた作品である。

かつて、五泉市には、蒲原鉄道線という鉄道が走っていた。1923年に開業し、地元住民の足としてのほか、穀物や鉱石を運搬する役割も担っていたと伝えられている。ところが、過疎化による乗客の減少やマイカーの普及などにより、1999年に77年間にわたる鉄道としての役割を終えた。

桜の季節、私は蒲原鉄道線の廃線跡を訪ねて、五泉市に向かった私。五泉駅から路線バスに乗って30分ほど揺られると、村松城跡公園にたどり着く。

公園内には桜の花が華やかに咲き誇っていた。そして、その一角には、かつて活躍していた蒲原鉄道線の車両がひっそりと置かれていた。まるで、今にも動き出しそう。

公園の脇からは廃線跡が続いていた。廃線跡からレールは既に撤去されていたものの、ホーム跡や枕木が残されている地点も見られた。かつて鉄道が走っていた時代の風景を思い浮かべつつ、この絵画を制作した。

" Cherry blossom trees and old train car"

This painting shows cherry blossom trees and a railroad car that used to run in Gosen-shi, Niigata, Japan in the 1990s.In the past, a railroad called the Kambara Railroad Line ran through Gosen-shi, which opened in 1923 and is said to have served not only as a means of transportation for local residents, but also as a means of transporting grain and ore. However, due to a decrease in the number of passengers caused by depopulation and the increasing use of private cars, the railroad ended its 77-year service in 1999.
During the cherry blossom season, I headed to Gosen City to visit the abandoned Kambara Railroad Line. After a 30-minute bus ride from Gosen Station, I arrived at Muramatsu Castle Ruins Park.
The park was filled with gorgeous cherry blossoms. In a corner of the park, there was a Kambara railroad car that used to be active in the past. It looked as if it might start moving at any moment.
From the side of the park, the ruins of an abandoned railway line continued. Although the rails had already been removed from the abandoned tracks, the remains of platforms and sleeping blocks could still be seen at some points. I created this painting while thinking of the scenery of the days when railroads used to run.

(追記)

※サロンドートンヌ展2022の展示は無事に終了しました。高校時代の友人とそのお友達が協力して会場よりレポートを送ってくれました。誠にありがとうございます。

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絵画「持石海岸の夕景」

絵画「持石海岸の夕景」

 

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JR山陰本線と石見交通の路線バスを乗り継ぎ、島根県益田市西部にある持石海岸へ赴いた。持石海岸は「三里ヶ浜」とも称される場所で、日本海に面して約12㎞にわたり弧を描くように海岸線がつづいている。

海岸線に白波が打ち寄せるたびに、小石がカラカラと心地よい音を立てていたのが印象的だった。

陽が西に傾くにつれ、海面はより一層輝きはじめ、一帯はゆっくりと茜色に染まっていく。穏やかで心地よい夕暮れどき。空には夕焼雲が流れ、さまざまな色彩が風景のなかに溶け込んでいった。

(絵画「持石海岸の夕景」絵と文:井上晴雄/F10号水彩/2023年制作)

 

絵画作品は各種SNS(FacebookInstagramThreds)でもご覧いただけます(最近、Thredsも始めました)。最新作品など、ぜひ、チェックしてみてくださいね。以下が 私(井上晴雄)のアカウントです。


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絵画「新緑をゆく木曽森林鉄道の列車」

※FACEBOOK,Instagramほか、SNSへのリンクはこちら

 

今回の絵画は、かつて長野県の木曽地方を駆け抜けた木曽森林鉄道の列車を描いた作品である。

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木曽森林鉄道は、木曽ヒノキをはじめとする木材運搬のために、大正時代に敷設された鉄道だ。大正5年(1916年)、長野県の上松と赤沢間に小川線が開通したのを皮切りに王滝線、小木曽線など、次々とレールが敷かれた。そして、網の目のように張り巡らされた路線の総延長は、全盛期で400kmに及ぶ規模に達したと伝えられている。

役割においても木材運搬のほか、山林に住む住民の足としても欠かせない存在になっていた木曽森林鉄道。しかし、日本国内が高度成長期を迎え、運輸環境は鉄道からトラックへと変遷。そして、昭和50年(1975年)、王滝線の廃線をもって、惜しまれながらも木曽森林鉄道はその役割を終えることになる。

廃線となった後も木曽森林鉄道の車両保存を望む声が多く上がった。それを受け、赤沢自然休養林に森林鉄道記念館が建設。車両の保存がなされるとともに、昭和62年(1987年)より全長2.2kmの赤沢森林鉄道が誕生し、観光客らを楽しませる役割を担いながら、現在に至る。 

春が到来すると、木曽の山々は新緑のやわらかい黄緑色に包み込まれる。小川には清流が流れ、梢には野鳥の声。そんな風景のなかをガタゴト音を立てながら森林鉄道の列車は駆け抜けていく。今回、木材を運搬していた往年の姿をイメージしつつ絵で再現してみた。

(「新緑をゆく木曽森林鉄道の列車」絵と文:井上晴雄/2024年制作/F10号水彩)

2021年パリ 国際公募美術展ル・サロン(LE SALON)入選作「南阿蘇鉄道のトロッコ列車」

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2021年パリ 国際公募美術展ル・サロン(LE SALON) に絵画1点が入選しました

ルサロン:1667年に創設されたフランスで行われている世界最古の国際公募展。モネ、セザンヌ、ドラクロア、ルノワール、ミレーなどが参加した。

 

⇒今回のルサロン展は、当初予定されていたフランス・グランパレでの展示は新型コロナの影響でWEB展示になりました。フランス芸術家協会のHP入選者作品のうち、51ページ目に掲載いただいています。

「南阿蘇鉄道のトロッコ列車」

        絵と文 井上晴雄

南阿蘇鉄道は、1985年に旧国鉄高森線を引継ぎ誕生した第三セクター鉄道。阿蘇山を縫って走る壮大な車窓風景が美しいことで長らく人気を博してきた。ところが2016年に起きた熊本震災で同線は被災。崖崩れによる線路崩壊や橋の崩落、トンネルへの土砂の流入などに見舞われ、全線不通になった。2023年を目標に全線復旧を目指して工事が行われている。沿線に住む住民たちのためにも最後まであきらめない姿勢に力強さを感じ心打たれた。3月末にもなると中松駅のホームは淡い春色に包まれる。駅舎に沿って並ぶ桜の木々にはほのかなピンク色をした花々が咲き誇り、人々の心をほころばせてくれる。
   

2020年パリ 国際公募美術展サロン・ドートンヌ展 入選作「路面電車と原爆ドーム」

 

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2020年パリ 国際公募美術展サロン・ドートンヌ展(Salon d'automne) に絵画1点が入選しました

会期:2020年10月14日~10月18日
会場:パリ・シャンゼリゼ大通り特設展示場

「路面電車と原爆ドーム」(被爆電車)

        絵と文 井上晴雄

復興のシンボルとして市民を勇気づけてきた広島電鉄の路面電車を絵画に描いた。1945年8月6日午前8時15分、広島に原子爆弾が投下された。白閃光とともに強烈な爆風と衝撃波が起き、まちは焦土と化した。広島電鉄が運行する路面電車のうち、爆心地付近を走行中だった車両は全焼大破。支柱は倒壊し全線不通となった。現在の原爆ドームにあたる広島県産業奨励館はレンガ壁と天井ドームの鉄骨を残して崩れ去った。そんな絶望的な状況のなか、広島電鉄の社員らは懸命に復旧作業を進め、被爆から3日後、一部区間での復旧運転に奇跡的にこぎつけた。荒廃したまちを馴染みのある路面電車が走るさまを見て、市民は大いに勇気づけられたと伝えられている。

The Hiroshima Electric Railway tram, which had encouraged citizens as a symbol of reconstruction, was painted. An atomic bomb was dropped on Hiroshima at 8:15 am on August 6, 1945. A strong blast and a shock wave arose with the white flash, and the town was burned to the ground.Among the trams operated by Hiroshima Electric Railway, the vehicle that was running near the hypocenter was completely destroyed by fire. The pillars collapsed and the whole line was cut off. The Hiroshima Atomic Bomb Dome, which was current the Atomic Bomb Dome, was collapsed except brick walls and steel frame of the ceiling dome.Under such a desperate situation, Hiroshima Electric Railway employees worked hard to restore, and just three days after the bombing, they miraculously managed to make the tram resume running in some areas. It was said that citizens were greatly encouraged by the familiar trams running through the devastated town.

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絵画「岩座神の棚田」

「岩座神の棚田」 岩座神棚田は兵庫県中央部の多可郡多可町に広がる。JR加古川線の西脇市駅から路線バスに30分ほど揺られ、そこからさらに杉原川の支流・多田川に沿って坂道を上っていった。50分ほど歩くと民家もとだえ、眼下にはごつごつした岩間を清水が白く速く流れているのが見えた。しばらくすると視界に「岩座神」と書かれた標識があらわれた。

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岩座神は「いさりがみ」と読む地名。集落の背後にそびえる標高1005mの千ヶ峰は仙ヶ峰とも称され、神が棲むと言い伝えられてきた。それに由来する「神おわす」ということばが「いわすわりかみ」となり「いさりがみ」という地名へと変化したといわれている。岩座神には「岩座神の七不思議」と呼ばれる言い伝えも残る。例えば、干ばつのときに雨乞岩踊りを奉納すれば必ず雨が降ると伝えられている「雨乞岩」、一本枯れても本数が減らない「三本竹」など。どれもミステリアスで想像がかき立てられる。

 

多田川のせせらぎの音を聴きながら深い杉木立のなかを歩き、峠を越えていくと、ちいさな集落が見えてきた。それが岩座神と呼ばれる集落だった。漆喰壁を持つ民家など20棟ほどが急峻な山斜面にしがみつき、中には茅葺き屋根の民家も見られる。民家群に寄りそうように棚田がいくつも連なり、黄金色に染まった稲穂が秋風に揺れていた。棚田の数は340枚にも及ぶ。その棚田においてとりわけ目を引くのは、棚田と棚田の間には何重にも積まれている石垣。2~3mの石垣で高いもので5mほどの高さにもなるという。

 

それらの石垣は鎌倉時代、急峻で農業に不向きとされた地で農業を営むため築かれたものだと伝えられている。千ヶ峰から流れる湧水を引き込み豊かな稲を実らせるとともに、雨水を一時的に貯めることから、地滑りや洪水から地を守る役割も担ってきたのだそうだ。厳しい自然と対峙しながら時代を経て受け継がれてきた人々の知恵の結晶が、この豊かな稲の実りと美しい棚田の風景につながっていることを知り感慨深く思った。

「岩座神の棚田」F10号水彩画/絵と文 井上晴雄

 

Rice terraces in Isarigami”

I drew a picture of a rice terrace The place is Iwaza Shrine Tanada. It is located in Taka-cho, Taka-gun in central Hyogo prefecture.From Nishiwaki-shi Station on the JR Kakogawa Line, I was swung by a local bus for about 30 minutes, and from there I went up the slope along the Tada River, a tributary of the Sugihara River. After walking for about 50 minutes, I found the private house, and I could see Shimizu flowing fast and white through the rugged rocks below. After a while, you could see a sign saying "Iwaza-jin" in your sight.

Isarigamiis a place name that reads "Isarigami". Sengamine, 1005m above sea level, stands behind the village and is also known as Sengamine, and it has been reported that God lives there. It is said that the word “God Owasu” derived from it became “Iwasari Kame” and changed its name to “Isarigami”. A legend called "Iwaza god's seven wonders" also remains in Iwaza god. For example, there is a rain beggar that is said to rain whenever you give a rain beggar dance during a drought, or a three-bamboo that keeps

絵画「笹川流れの夕景」

 

絵画「笹川流れの夕景」

新潟県村上市にある「笹川流れ」は 鳥越山から狐崎にかけて続く約11kmの海岸である。日本海の荒波が削りとった奇岩怪石や岩礁が見事な景勝地で、その海域は、屈指の透明度を誇ることでも知られる。

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JR羽越本線桑川駅を降りると潮騒の音が聞こえ、視界の先に日本海が広がっているのが見えた。雲の切れ間から西陽が差し込んだかと思うと、無数の色彩が乱舞しながら、きらびやかに海面を染めていく。沖に浮かぶ粟島が光の中に霞みゆき、そして、太陽は静かに水平線に沈んでいった。

あっという間の出来事だったが、そこには悠々と流れる時の流れと自然のやさしさを見たような気がした。

(F10号水彩画 2021年制作「笹川流れの夕景」絵と文:井上晴雄)

 

 

長門峡の秋

「長門峡の秋」Photo_20201121045001

ある霧が晴れた日、JR長門峡駅で列車を途中下車した。山口市側の渓谷入口にあたる道の駅から、阿武川の河岸に沿ってのびる探勝道を辿る。

眼下には白く速く流れる悠々とした流れ。日本海に向かい、澄んだ瀬音を立てながら流れていく。川べりには石英斑岩が侵食されてできた奇岩怪石がまるで屏風のように連なっていた。

長門峡は山口市から萩市にかけてつづく四季折々の景色を楽しむことができる景勝地。山ひだにはケヤキ、クヌギ、モミジなどが黄色に赤色にと染め競っている。そして、その鮮やかな秋色が深い淵に映し出され、ゆらゆらと揺れていた。こもれ陽が飛沫をまぶしく照らすたび、その余韻が絃の音のようにやさしく伝わってくるように感じた。

(F10号水彩/絵と文:井上晴雄)

絵画「夕陽ヶ浦海岸の夕陽」

「夕日ヶ浦海岸の夕陽」

 

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京都府北部に位置する丹後半島は天女の羽衣伝説はじめ、歴史と伝承が織りなす地。海と山に囲まれ、神の箱庭とも称される一帯を歩くと何かに守られているような感覚さえ覚える。

 

京丹後市網野町には約6kmにわたりつづく夕日ヶ浦海岸という海岸がある。白砂青松の海岸で、日本の夕陽百選にも選ばれる夕陽の名所としても知られている。

 

紺碧の海は太陽が水平線に近づくにつれ、ゆっくりとオレンジ色に染まっていく。日本海の荒々しいイメージとは打って変わって穏やかで、まるで時が止まったかのよう。

 

黄金色に輝く海。その光が上空の雲にも反射して神秘的な夕景をつくりだしていった。

 

(F12号水彩「夕陽ヶ浦海岸の夕陽」絵と文 井上晴雄)

Tango Peninsula, located in the northern part of Kyoto Prefecture, is a place that is woven by history and traditions, including the legend of Hagoromo of the Tenme. Surrounded by the sea and mountains, you can even feel as if you are protected by something as you walk around the area called God's miniature garden. In Amino-cho, Kyotango City, there is a coast called Yuhigaura Beach that extends for about 6 km. It is also known as a famous spot for the sunset, which is one of the 100 best sunsets in Japan on the coast of the white sand and green pine trees. The azure sea slowly becomes orange as the sun approaches the horizon. It's calm compared to the rough image of the Sea of ​​Japan, it feels like time has stopped. The golden sea. The light reflected the clouds in the sky and created a mysterious evening scene.

 由良川橋梁を渡り日本三景の天橋立へ ~京都丹後鉄道(丹鉄)でゆく列車旅~

「由良川橋梁を渡り日本三景の天橋立へ」~京都丹後鉄道(丹鉄)でゆく列車旅~(絵と文 井上晴雄)  

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 海と山に囲まれ、神代の物語が伝わる京都府北部エリアはロマンあふれる地だ。京都府北部エリアといえば、日本三景「天橋立」のある宮津市はじめ5市2町を圏域とする「海の京都観光圏」が国の認可を受け国内外から注目を集めている。同観光圏内の交通手段として大きな役割を担うのは京都丹後鉄道(丹鉄)だ。先日、そんな京都丹後鉄道宮舞線・宮豊線の普通列車に揺られ天橋立へ向かう旅に出た。

西舞鶴発豊岡行の気動車は、山々に挟まれた田園地帯をゴトゴト西へ走っていく。駅前の枝垂れ桜が美しい四所駅や「安寿の里駅」の愛称を持つ東雲駅に停まり、丹後神崎駅を出ると列車は山すそのカーブを舞い、第1の絶景ポイントである由良川橋梁に差し掛かる。由良川橋梁は大正13年に完成した全長552mの単線橋梁だ。一直線にのびる橋を進むにつれ、車窓いっぱいに由良川の川面が広がった。まるで海上を走っているようだ。

丹後由良駅から列車は海沿いに高台へ上がり第2の絶景ポイントである奈具海岸を右車窓の眼下に映しだす。紺碧の栗田湾と入り組んだ海岸線の構図が美しい。栗田駅からトンネルを抜けると宮津駅。江戸時代の風情香る市街地には宮津温泉ピント湯が湧き、「宮津温泉 料理旅館 茶六別館」はじめ名宿が並ぶ。宮津駅からひと駅行くと日本三景「天橋立」の最寄り駅である天橋立駅に到着する。

駅前から智恩寺の門前町を辿ると天橋立のたもとに出た。宮津湾と阿蘇海を分ける形で3.6kmに及ぶ砂嘴が一直線にのび、美しい白砂青松の風景が展開。かつて国生みの神である男神イザナギノミコトが女神イザナミノミコトのもとに通うため天上から梯子をかけ、それが倒れて天橋立になった・・。そんなロマンチックな神話が現地に伝わる。

 天橋立を歩いた後、天橋立運河の畔で湯けむりを立てる老舗温泉宿「文珠荘」に立ち寄った。天橋立の神話に思いを馳せながら、同宿の茶庭風露天風呂に浸かる。その澄んだやさしい湯は旅の疲れをゆっくり癒してくれた。

(由良川橋梁を渡り日本三景の天橋立へ ~京都丹後鉄道(丹鉄)でゆく列車旅~ 絵画と文 井上晴雄/『旅の眼123号』掲載

 

「ふるさとに咲く桜」 

    「ふるさとに咲く桜
                    絵と文 井上晴雄 

 

 

日本列島に桜前線が北上中である。どこか花見に出かけてみようと思い、先日、生まれ故郷に久しぶりに訪れた。

 

 

すると、小さいころよく歩いた桜並木に桜が花開き始めていた。可憐な花々を見上げながら人々がにこやかに過ごしている。そんな風景を見て心が温かくなった。

 

 

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桜といえば、小さい頃は、亡き母が毎日散歩に連れて行ってくれて、桜並木をくぐりながらいろいろな草花の名前を教えてくれたことを思い出す。

 

桜の木々は何も語らないが、そこには生命の躍動が溢れているのを感じとっていた。

 

じっと寒い冬を過ごし、毎年変わらず美しい花を咲かせている。子供心ながら、そんな桜のような大人になりたいなと思っていた。

 

そういった過ぎ去りし昔の出来事をなつかしく思い出しながら、枝に咲いている桜の花々を絵に描いた。

歳月が流れると、街並みも人も変わっていく。そこには寂しさもあるが、ふるさとの桜は当時と何変わらぬ姿でやさしく迎えてくれた。

 

やさしい陽が差す季節になると、桜の木々は、美しい花を咲かせ観る人々を笑顔にしてくれる。風が吹くたび、まるで光をこぼれ散らせるように、花吹雪が大地に舞い落ちていくさまにも趣がある。そこには、自然のはかなさとともに生命の力強い躍動感を感じずにはいられない。それは、桜の木々がじっと寒い冬を過ごしてきたからなのだろうか。

 

    (ふるさとに咲く桜」絵 井上晴雄)

 

 

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