山里の朝
「厳島神社冬化粧」水彩画/F8号 絵と文:井上晴雄.
「厳島神社雪化粧」作品説明
しんしんと降りつづけた雪は、夜通し止まなかった。早朝、宮島に渡ると、社殿は雪で覆われ、凛として佇んでいた。背後の山々には霧が流れ、ただ静かなときが、流れていた。
広島県廿日市市に浮かぶ宮島は、日本三景に数えられており、古来より神として信仰の対象となってきた島である。宮島の入り江には、ユネスコの世界文化遺産に登録されている厳島神社が建つ。約1400年前、地元の豪族であった佐伯氏が、御笠浜に社殿を建てたのが起源で、平安時代末期に、平清盛が、現在の社殿を造営したと伝えられている。宗像三女神を祀る。
社殿を眺めているうちに、深遠な気持ちになった。造営に携わった人々は、とうの昔に墓に眠っている。しかし、建物を通して、彼らの意志が時代を超えて、ひしひしと伝わってきたのだ。一族の栄華を超越して、後世を豊かにしようという切なる思いが。
時というやさしい粉雪が、今も静かに降り積もっていた。
作 井上晴雄。
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