「春の風」(絵画/花のある風景)
舞い落ちる桜の花びらを乗せた春の風は
まるで銀の琴が
澄んだ音色を奏でるように
山裾を桜色に染めていった
「春の風」 絵画と文:井上晴雄。
深い山々を抜けていくと、飛騨の谷あいは、桜吹雪で埋め尽くされていた。誰もが感激のあまり息を飲んだ。春の風が吹くたびに、天空から、無数の花びらが舞い落ち、そのさまは、まるで銀の竪琴が、雅な音色を奏でているかのようであった。
(絵画と文:井上晴雄/F8号/絵画/風景/2007年制作)
舞い落ちる桜の花びらを乗せた春の風は
まるで銀の琴が
澄んだ音色を奏でるように
山裾を桜色に染めていった
「春の風」 絵画と文:井上晴雄。
深い山々を抜けていくと、飛騨の谷あいは、桜吹雪で埋め尽くされていた。誰もが感激のあまり息を飲んだ。春の風が吹くたびに、天空から、無数の花びらが舞い落ち、そのさまは、まるで銀の竪琴が、雅な音色を奏でているかのようであった。
(絵画と文:井上晴雄/F8号/絵画/風景/2007年制作)
根尾の山あいで
大地に根を広げる
桜の大木と出遭った
山を春色に彩ろうと
ただ無心に咲き誇るさまを見て
頭が下がる思いがした
どんなに辛いことや悲しいことがあっても
力強く生きていこうと思った
(2007年8月制作/F12号水彩画)
「ただ無心に」絵画の説明
岐阜県西部、福井県との県境に近い山中に、根尾という小さなまちがある。
根尾川が北から南へ流れ、周囲には、能郷白山はじめ険しい山々が連なっている。厳しい冬を通り越すと、うららかな春の陽気が漂い、桜の名所となる。そのなかに、薄墨桜という彼岸桜の巨木が一本立っている。蕾のときはピンク、満開時には白色になり、散るときには、淡い墨色になる珍しい桜。樹高は16.3m 周囲9.9mを誇る。
樹齢1500年という途方もない長いときのなかで、薄墨桜は、何度も枯れかけたそうだ。それでも今年も春が訪れると、無数の花々を咲かせているのだった。幹は朽ちはじめ、たくさんの添え木で支えられている。それでも何も語らず、大地に根を張り、ただ無心になって、花を咲かせていた。
その姿を見たとき、頭が下がる思いがした。私たち人間も、辛いことや悲しいことがあっても、無心になって懸命に生き通さなければならないと思った。
(F10号/2007年8月制作/絵画/花のある風景)
さびれた山奥の廃線跡
列車がやってこなくなって 何年も経つ
人々はいつしかその存在さえ忘れてしまった
ただ 桜の木々だけは
今年も 忘れることなく
たくさんの 花吹雪を降りつもらせていた
(F4号 絵画 2007年7月制作/花のある風景)
「幸せが降り積もる」絵画の説明
人里離れた山に分け入っていくと、茂みのなかに、廃線跡があった。枕木はとうに朽ち果て、線路は草や苔で覆われていた。ふもとの村のに住む誰もが、その存在すら忘れてしまっていた。
しかし、春が訪れると、線路脇の山桜は毎年欠かさず咲き乱れ、廃線跡を愛でるかのように、花吹雪を散らしているのだった。春の薄い光が枕木に落ち、足元には、無数の桜の花びらが吹き溜まる。それはかつて、列車が山を駆け抜けたときと何変わらない華麗な姿だった。
人間も、年を重ねるごとに、腰が曲がり、病気がちになり、次第に朽ち果てていく。しかし、それはとても美しいことである。ここまで築いた深い人生経験や想い出の数々は、未来へ繋がるかけがえのない財産である。
私も含めた若い世代は、年配の方々を敬い、紡がれた歴史から、真摯に何かを学んでいきたいものである。
雲が滲むように流れた白馬の青空
霞を乗せたそよ風は 満開の菜の花畑にそよぎ 辺りはいつしか 甘い香りで覆い尽くされていた
(絵:井上晴雄./水彩画/F10号/2007年3月制作)
「信州の菜の花畑」 作品説明
白馬岳は標高2,932mを誇る、北アルプスの山である。冬は厳しく、稜線東側の谷筋では、膨大な積雪と雪崩が繰り返される。そんな白馬岳にも、春がやってくる。青く澄んだ空には、小鳥の声がこだまし、菜の花の甘い香りが、麓にゆっくりおりてくる。
生きていると 試練や困難がたくさんある。でも、そこから美しい物語が生まれてくる。広がる風景や足元に咲く花々に感動しながら、聳え立つ山々を、一歩一歩登ってゆくことに、生きる醍醐味があるような気がする。
月明かりの中に
桜の花が
咲きこぼれていたl
季節はいつの間にか 春
心のなかに
銀色の砂が
さらさらと 流れた
水彩F4号
「月夜と夜桜」 作品説明
鬱蒼と茂る森の暗がりを抜け、河畔に出ると、やさしい月明かりの下に、
一本の桜が立っていた。雅にしなる枝に、澄んだ花が無数に咲き零れ、
風が吹くたび、それらはひらひらと翻りながら地上に舞い落ちていく。
その様は、まるで夜空が琴の音色を奏でるよう。なんと美しい
春のひとときなんだろう。私の心にも、銀色の砂が曲線を描いて
さらさら流れ落ちるように感じたのだった。
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