絵画「秋の田圃と美作滝尾駅」

絵画「秋の田圃と美作滝尾駅」

先日、岡山県の県北に足を運ぶ機会があった。

津山駅でJR因美線を走るディーゼルカーに乗り換え、中国山地の山ひだを3駅ほど行くと、美作滝尾という小さな駅にたどりついた。

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美作滝尾駅は木造の無人駅で、昭和3年に開業した当時の姿をとどめている。数人の乗客が降りて列車が走り去っていくと、駅舎は沈黙に包まれた。黒光りするベンチ、瓦葺きの切妻屋根ほかまるでタイムスリップしたかのよう。次の列車は4時間後にしかやってこない。
駅舎のホーム側に出るとのどかな田園風景が広がっていた。色づきはじめた中国山系の山々を背景に、黄金色の稲穂が秋風に揺れている。そんな穏やかなひとときを絵に描いてみた。
(「秋の田圃と美作滝尾駅」 絵画と文 井上晴雄 2018年制作 F10号)

初夏の農村風景(高島市畑地区の風景) 絵と文 井上晴雄

初夏の農村風景(高島市畑地区の風景) 
                                    絵と文 井上晴雄

初夏の緑が映える季節になった。先日、琵琶湖西北部、比良山系の山すそに高島市畑地区というエリアに足を運んだ。

JR湖西線の近江高島駅から路線バスに揺られること30分余、終点の畑バス停で下車すると、鳥のさえずりだけが谷あいにこだましていた。木陰にたたずむ古い看板をたよりに急な坂道をのぼっていくと、山斜面に重なるように、明るい棚田が現れた。

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畑地区一帯には標高300m~400mにかけて350枚もの田園が、すり鉢状に連なっているのだという。

水路には透きとおった水が流れ、風が吹くたびにどこからともなく花の甘い香りが漂ってきた。

視界はさまざまな緑色。若草色、薄緑、深緑、鮮緑、鶯色、萌黄色、浅緑・・それらが折り重なりあいながら繊細な空間をつくりだし、そのなかに古風な民家が点在していた。草木はまるで今この瞬間を生きることを喜ぶように葉をいっぱいに広げている。

都会の喧騒から離れた、ゆったり過ぎゆく農村のひととき。そんな、すべてをやさしく包み込んでくれるような穏やかな季節がいつまでもつづけばいいのにと思った。

 
               (「初夏の農村風景~高島市畑地区の風景 」絵と文 井上晴雄)

絵画「収穫時の大豆畑」~北海道千歳市にて~

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(絵画「収穫時の大豆畑」 北海道千歳市にて)

美山茅葺きの里の雪景色

「美山かやぶきの里の雪景色」

                      絵と文 井上晴雄

京都府南丹市美山町知井地区に北集落という集落がある。現代では珍しくなった茅葺き屋根を構えた民家が、山麓の傾斜地に連なる。

美山は京の都と若狭をつなぐ鯖街道のほぼ中間に位置したことから、中世には物資や人が行き来していた。茅葺き屋根を構える民家群の建築様式もその影響を受け、丈の高い入母屋造の屋根が特徴的。その多くは江戸時代中期~末期に建てられたものだと伝えられる。

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現在は、、民家群のほか民俗資料館や民宿なども含め茅葺き屋根を構えた建築物38棟が現存。水田や山林を含む集落全体(127.5ha)が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

1月下旬から2月初旬にかけて現地では「かやぶきの里 雪灯廊」と呼ばれるイベントが催され、茅葺き屋根の民家群がライトアップ。花灯篭によるやさしいあかりが風景に華を添えていた。

日本の原風景ともいえる、茅葺き屋根の民家が連なる里山風景。心を和ませてくれるゆったりした時の流れを味わっていると、天空からボタン雪が舞いはじめ視界を白く染めていきった。

(美山かやぶきの里の雪景色 絵と文 井上晴雄)

田植えの風景(近江高島畑地区)

「田植えの風景(」近江高島畑地区)

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深い緑に囲まれた山斜面には水を張った田んぼが連なっていた。あたたかい陽光、澄んだ水の音、鳥のさえずり、風のそよぎ、伸びる草木・・そこには農作業に励む人々も見える。さまざまないのちが躍動する里山の風景。私も自然がつくりだす風景のようにあるがままに生き、日々のなかにちいさな感動を多く見つけていければいいなと思う。

絵画「田植え時期の白川郷」

新緑が美しい季節になった。若葉がいっせいに芽吹き、生命力にあふれる季節。白川郷には、江戸時代築の建築物を中心に、古い茅葺き屋根の家屋が一帯に立ち並ぶ集落。

絵画 世界遺産 茅葺き 白川郷 井上晴雄img_35432_3

合掌造りと呼ばれる手を重ねたようなその急こう配の屋根の形状も独特。その昔ながらの風景を今に残している白川郷は、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。

そこには伝統を継承してきた人々の生活も息づいている。生け垣や水路、そして水が張られた田んぼには苗が植えられ、その鏡のような水面には、古い茅葺屋根の家屋を映しだしていた。

植えられた苗は、根を張り、葉を茂らせ、実を結んでいくことだろう。私もあるがままに生き、今日もひとつでも多くの感動を見つけていきたいと思う。

(絵画「田植え時期の白川郷」絵と文 井上晴雄)

絵画「農村の風景」 (日本の風景)    絵と文 井上晴雄

絵画「農村の風景」農村風景」(日本風景

            

絵画 井上晴雄

兵庫県と鳥取県との県境に近い、ちいさな農村に訪れた。雪に閉ざされていた野山は、いつしか春の光景に様変わりしていた。畦道には、菜の花やレンゲソウが可憐に咲き乱れ、小川からは、軽やかな瀬音が聞こえてくる。

 小径を歩いていくと、明るい段々畑が広がった。そこには、おばあさんたちが、農作業に勤しむ姿があった。まるで春の到来を全身で喜ぶようかのように、懸命に田畑を耕し種を蒔いている姿が印象に残った。ここから米などの農作物が育っていくのだ。

 季節は、毎年、正確に巡ってくる。春になると若葉が芽吹き、夏になると、入道雲が湧きあがる。一見すると、ごく当たり前のことかもしれない。ただ、ふと立ち止まってみると、その平凡なことが至極、奇跡的でありがたいことに思えてならない。

(「春先の農村風景」/播磨/自然/農村の風景/画像/絵画と文:井上晴雄./国内旅行/日本の風景/風景絵画)

秋の田園風景(岡山県新庄村) 絵と文 井上晴雄

「秋の田園風景」(岡山県新庄村の風景) 絵と文 井上晴雄

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岡山県新庄村は鳥取県との県境に近い村である。人口は900人ほどと、岡山県内の自治体のなかでは最小の村。豊かな緑と清流に彩られている美しい景観が村の随所に展開する。
岡山県新庄村の特産物はヒメノモチ。ヒメノモチは、同村の全域で栽培されている餅米で、餅やオカキにして食す。昼夜の気温差と清流あってこそうまれるこの餅米は豊かな風味を含み美味
黄金色に染まる田園の向こうには、出雲街道ものびる。
重層な石州瓦を構えた古き民家が連なり、かつて本陣・宿場町として栄えた往時を感じることをできた。新庄村の中心部までは、JR中国勝山駅から真庭市コミュニティバス40分ほど。

絵画 「田園風景を行くJR武豊線の列車」 絵と文 井上晴雄

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 「田園風景を行くJR武豊線の列車」

~明治時代に開通した知多半島を走るローカル線~

 

                   絵と文 井上晴雄

 

愛知県の南西部に位置し三河湾と伊勢湾に挟まれてのびる知多半島。その東部に全長19.3kmのローカル線が走っている。愛知県大府市の大府駅と知多郡武豊町の武豊駅間を約30分で結ぶJR武豊線だ。

 

武豊線の歴史は古く、その敷設は明治時代にまでさかのぼる。新橋駅と横浜駅間に日本初の鉄道が開業したのは明治5年(1872年)のことだ。その後、東京と大阪を結ぶ幹線鉄道の建設が構想されることになるが、それには大量の建築資材が要った。そこで、海外からの建築資材を知多湾に面する武豊港から積み上げる計画がもちあがった。そのとき武豊港に陸揚げされた建築資材を輸送する目的でつくられたのが武豊線だった。

 

明治19年(1886年)に武豊線は開通。英国製のSLが、武豊港で陸揚げされた建築資材を運搬し、東海道本線の敷設に大いに貢献した。東海道本線は明治22年(1889年)に無事に開通し、武豊線は当初の役割を終えることになる。しかしその後も地元の要望などから武豊線は存続されることとなり、以降は酒、味噌といった食品や機械製品などを運搬して地元の発展にも大きく寄与した。現在では沿線のベッドタウン化が進み、その役割は物流から通勤・通学客を運ぶことに移行している。一方で、明治19年(1886年)築の亀崎駅や明治42年(1909年)築の半田駅の跨線橋をはじめ、沿線には武豊線の長き歴史を物語る建造物が多く現存し、昔ながらの豊かな自然も残されている。

 

ある日の昼下がり、武豊線の古びた駅で途中下車した。集落をのびる細い道を歩いていくと、アキアカネが飛び交う青空の下に、のどかな田園風景が広がった。黄金色に染まる稲穂が秋風に吹かれて静かに揺れ、淡く浮かびあがっている。明るい田んぼの向こうには、名古屋方面に向かう二両編成の列車がゆっくりと横切っていく。時代の流れとともにその役割を少しづつ変えながら、武豊線の列車は今日ものんびり知多半島を走っている。

絵画「線路のある風景」  絵と文:井上晴雄

 「線路のある光景」                             絵と文 井上晴雄. 私は、ローカル線の旅が好きである。なかでも、急がずのんびりとした旅に惹かれる。鉄橋を渡り、トンネルを抜け、海が開け・・そんな万華鏡のように移り変わる窓外の風景に、魅了されてやまないのだ。そこには、延々とつづく「線路の光景」がついてまわる。レールの先を眺めているうちに、「この先にはどんな風景が待っているのだろう?」「山の向こうにはどんなまちが広がっているのだろう?」などと、さまざまなな想像が駆け巡る。ローカル線の多くは、山や川に沿って曲がっているため、線路の遥か先を見ることができない。しかし、前に進んでいけば、新しい風景が開けてくる。ローカル線の旅は、どこか私たちの人生と似ているような気がしてならない。

絵画「線路のある風景」

             現代の社会では、指定された目的地に、いかに速く最短ルートで到達できるかを求められがちだ。それは悪いことではない。しかし、ときには立ち止まってみたり、途中下車したり、或いは、他人と違った目的地を掲げてもいいのではないかと思うことがある。いかに模範的に生きるかどうかよりも、大切なのは、「今この瞬間」の出来事をいかに楽しみ、レールの先に何を見るかではないかと思うからだ。 線路には夢をつくりだす力がある。まだ見ぬ未来の光景。それが、一本のレールの先に輝いていて見えたとき、人は心の奥底から幸せを感じるのかもしれない。二度と繰り返されない、人生という旅。一瞬一瞬の光景に、胸ときめかせて生きていきたいと思う。 (風景/線路のある風景/作品:絵と文 井上晴雄/2009年6月制作)

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