金色の風(絵画/海のある風景)

Akatuki1 西に傾く陽に包まれて 

沖の島々は 霞がかった

いつしか 金色の風が 天空から舞い降り

まるで ときを止める魔法をかけるように 

海面を なではじめた 


      「金色の風」         絵画と文:井上晴雄。

 やさしい風に誘われ、深い眠りに落ちているうちに、いつしか空と海は、金色に染まっていた。一艘の舟がまばゆい光のなかに、静かに消えていった。まるで、遠く過ぎ去ったあの日の夢の続きを見ているような心地よさだった。こんな美しい風景を見せてくれた自然に、思わず手を合わせた。
 自然は人間に、無償の恵みを与えてくれる。しかし、世界を見渡すと、自然を壊す動きが絶えることがない。私たちは、太陽の光があるから、水を飲めるから、空気を吸えるから生きることができるというのに。
 人間は、文明を進化させるうちに、いつしか、自然のなかに生かされているという視点を忘れてしまったように思う。海や川や山を敬愛し、あらゆるものに感謝しながら日々を送る大切さを。

(絵画と文:井上晴雄./風景/絵画/F8号/2007年5月制作)

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「砂丘浪漫」(絵画/砂丘や大地の風景)

Sakyu_2 陽がやさしく照らす 砂丘の朝

なだらかな砂の流れを見ているうちに

  幸せとは何か 少しだけ
  分かったような気がした

     「砂丘浪漫」 絵画と文:井上晴雄。 夕刻、西陽が差し込み、砂丘はキラキラと輝きはじめた。向こうの方に、ラクダのシルエットが、ゆったりと横切っていく。 鳥取砂丘は、日本海沿岸に広がる砂礫地帯である。中国山地の花崗岩が風化して、卓越風で流されて形成したといわれている。すり鉢状の砂の窪みは、最大で90mもの高低差に及ぶ。 砂丘は遠望すると、なだらかで美しい。しかし、いざ歩行するとなると、実に困難な場所である、砂に足を踏み入れれば、もう片方の足が埋まり、引き抜こうとすると、また他方の足が砂の中にめり込む。先の風景はすぐそこに見えているのに、なかなか前に進めない。小高い丘を越えたかと思うと、また窪みに入り、また次の丘が、目の前にそびえ立っている。  砂丘を歩く。それは、人が生きるということにも似ているような気がする。ひとつのハードルをクリアしても、また新たな試練が待ち構えている。その次にはまた違う関門が聳えている。その繰り返しである。得てして、生きるとは、辛く厳しいものだといえるかもしれない。そう考えたとき、いかに先を急ぐかよりも、ときには立ち止まりながら、その中に、たくさんの幸せを見つけていく方が、賢明な生き方ではないかと思った。 砂丘を越えきったら、その先には、紺碧の日本海が一面に広がっている。潮風が心地よく吹き抜ける美しい浜辺。私たちは、砂丘の先に、何を夢見て、今日の一歩を進めるだろうか?  

(F4号 風景/絵画と文:井上晴雄。/2007年8月制作)

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「長崎の夜」(絵画/夜景のある風景)

Nagasaki7 戦後六十年
稲佐山の上から
長崎の夜景を 一晩中眺めた

宝石を散りばめたような
まちの灯りを見ながら ふと思った

 生きるとは
 心のなかに 想い出という灯で
かけがえのない夜景を つくることではないか

(2007年8月制作/F12号/風景)


     「長崎の夜」 絵画の説明

1945年(昭和20年)8月9日午前11:02。上空を飛ぶ一機の飛行機から、長崎市内に向けて原子爆弾が投下された。爆弾は、長崎市の中心部から約3km離れた浦上地区において炸裂。閃光とともに上空にキノコ雲が上がった。爆風と灼熱地獄がまちを襲い、一瞬にして、市内の建物の36%が全燃・倒壊、7万2千人もの尊い命が失われた。辛うじて生き残った人々にも、その後、放射能を帯びた死の灰と雨が降り注ぐこととなる。人々は絶望の底に沈み、まちは暗闇に包まれた。

 終戦から約60年の年月が経つ日、私は、長崎市内を望む稲佐山に登った。鬱蒼と茂る木々の並びを抜けていくと、目の前に、煌めく無数の灯りの渦が広がった。あまりの美しさに立ちすくんだ。

 その夜景を眺めたとき、長崎が、原子爆弾の被災地だということを一瞬忘れてしまった。その明かりの数々は、優雅そのものだったからだ。ただ紛れもなく、長崎市の戦後は、あの一瞬からはじまった。無言でキラキラ輝くその光の渦を見たとき、涙が止まらなかった。暗闇に包まれた死のまちから、ここまで辿りつくまでには、想像を絶する労苦があったに違いない。この明かりは、60年という歳月をかけて、人々が手と手を取り合ってまちを復興させてともした、命の明かりなのだ。

 現代は、衣食住が当たり前に提供される時代となり、戦争は、昔話として風化されつつある。しかし、私たちは、戦争でたくさんの大切なものを失ったことを忘れてはならない。また、今現在も その後遺症で苦しんでいる方が多数おられることも知っておかねばならない。

長崎の夜景を見渡しながら、この美しい明かりを二度と消してはならないと思った。
世界に恒久の平和が訪れるよう、祈りを込めて絵筆を強く握りしめた

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黒豆畑が広がる風景(絵画/農村の風景)

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「黒豆畑と青空」(2007年11月制作/絵画/農村の風景)
        

ちいさな集落の一本道を抜けていくと
黒豆畑が
  薄緑色に 染まっていた

広い空には 雲が流れ
幸せなときが ゆっくりと過ぎていった

「黒豆畑と青空」<兵庫県宍粟市一宮町の風景>絵画の説明

 氷ノ山、三室山、後山といった険しい山々に囲まれた宍粟市。一宮町界隈に入ると、揖保川のせせらぎを覆うように、黒豆畑が一面に広がっていた。
  青空には 雲が流れ、どこまでも透きとおっていた。美しい清水、明るい陽光、植物の生命力、大地の香り、素朴な人々・・薄緑色に染まった黒豆の葉は、風に静かに揺れ、キラキラと光り輝いていた。どこまでもゆったりとした幸せなときが、空の彼方に霞んでいく・・・

※黒豆は、ダイズの一種で、黒大豆とも呼ばれている。8月ごろに薄桃色の花が咲き、10月ごろ実をつける。実が黒く色づいた11月中旬~12月上旬頃、収穫される。

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夏の夕暮れ(絵画/海のある風景)

67_005絵の具を滲ませたような海に
大きな太陽が沈んでいく


 人は ときに過去にとらわれ
 未来に不安を持ってしまう

でも 一番大切なのは 今このとき
人生で二度とない っ瞬間を
 じっくりと味わって生きていきたい

(F8号  2007年6月制作 絵画/海のある風景)

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夜景と花火


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息を切らして城塞の暗がりをあがりきると 

雷鳴のような轟とともに 

 光のシャワーがまちを包み込んだ

 今日は 花火大会の夜 

夜空が鮮やかに彩られ 

 いつしか心が 子供時代にかえっていた  

「花火大会の夜」絵画の説明

  列車から降りると、花火の打ちあがる音が山々にこだましていた。今日は、待ちに待った花火大会の日。早く花火を見たいと、息を切らせて、音が鳴るほうに走った。しかし、いくら道を辿っても、聳え立つ山は高く、何も見えてこなかった。もう先を急ぐのをやめようとした、そのときだった。岸壁のシルエットの先に、大空に上がる大輪の花
が目に飛び込んできた。「ここまで来て良かった。」心が躍った。


その日から、もう20年近い年月が経つ。しかし、そのとき心に刻まれた感動というものは、忘れることができない。年を重ね、日々を忙しく過ごすようになっても、色あせず輝きつづけている。今日もそんな感動を探して、前に進もうと思う。

(絵画:井上晴雄。/風景/F8号/2007年4月制作)

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さよなら隠岐の島

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祭の音色と緑のそよぎに包まれた島影は 

 ゆっくりと甲板から遠ざかり 

光り輝く海のなかに 

 静かに消えていった 

 さよなら隠岐の島 ありがとう隠岐の島
(絵:井上晴雄。/水彩画/F8号/2007年4月制作)


「さよなら隠岐の島」絵画の説明  

  汽笛の音とともに フェリーは港を離れた。上空には、カモメが優雅に旋回している。これから船は、隠岐の西郷港から、本土の境港に帰ってゆくのだ。
フェリーの甲板に出ると、ひとりの青年が、必死に手を振っていた。入り江には、見送る家族の姿があった。互いに、涙を流しながら、手を振りあっていた。無性に心が温まった。青年は、今から、就職するために、島を離れるのだろうか。
隠岐は、日本海に浮かぶ群島である。境港の北方約50kmに位置し、島根半島の方から、知夫里島、中ノ島、西ノ島、島後島と並び、ちいさな島を入れると、約180の島々が点在している。
船が進むにつれ、島はみるみるうちに小さくなり、ついに光の霧の中に消えていった。

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瀬戸内の朝陽


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 漆黒の半島に、朝陽が昇った 

海面いっぱいに広がる眩い光を受けながら

長い闇の中から開ける未来は 

こんなに美しいものなのかと思った

(絵:井上晴雄/水彩画/F8号/2006年制作)

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「瀬戸内旅情」

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島の高台に駆けあがると
海と空が
  真っ赤に燃えていた

  あたたかい光は
  金色の波となって
  私の心に 打ち寄せてきた

(絵:井上晴雄/水彩画/F8号)


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「夕暮れの樹」 作品説明

凍てつく寒さが真近に迫った晩秋の日、私は斑鳩の山里を
ひとりぼっちで歩いていた。先ほどまで広がっていた曇天は、
陽が西に傾くにつれて、いつしか茜色に染まっていた。ハイキング客
たちの賑やかな声も何処かへ消え、しんと静まり返ったさびしい山道。

雲の切れ間から光が差し込み、立ち枯れた木々が濃い陰影をつくり
だしていた。「私も急いで帰ろう。」
家路につこうとして、ふと、道端にそびえる樫の大木を見あげると、
葉を落とした木々の枝の合間に、寄り添う烏の姿が目に飛び込んできた。
陽が射す方向に体を向けたまま、微動だにしない二羽の烏。何故か心が
惹きつけられた。

急いで帰ることはない。この美しい夕暮れのひとときを共に
味わってから帰ろう。咄嗟にそう思った。これから厳しい冬が到来する
かもしれない。でもこんな温かいひとときは今この瞬間でしかないものだ。

                 2005年冬  井上晴雄

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「雪山の汽車」B3 絵:井上晴雄
深い雪山を飲み込むように、汽笛と轟音を立て山を駆け抜けた汽車は、今は何処へ走っていってしまったのだろう?<

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「虹色の海」F8号 絵と文:井上晴雄
小さな感傷に誘われて訪れた、早朝の海。鉛色の空から、陽が昇り、海面は虹色に輝きはじめました。  (☆言葉入りポストカード→)http://haruo-inoue.tea-nifty.com/photos/post/photo_1.jpg

  

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