「近江商人屋敷にて(そろばんのある光景)」 絵と文:井上晴雄

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          「近江商人屋敷にて(そろばんのある光景)」                                                 絵と文 井上晴雄    滋賀県東部にある東近江市五個荘に訪れた。JR能登川駅を出たバスは、湖東平野を割って走り、窓外には、赤や黄に色づく山並みが遠ざかってゆく。 五個荘は、かつて、天秤棒を担いだ近江商人たちが活躍したことから「てんびんの里」という愛称で呼ばれている。五個荘金堂地区などが重要伝統的建造物群保存地区に指定され、現在でも、界隈では、明治時代前後の風景を見ることができる。 平日ということもあり、まちは、ひっそりとしていた。路地を曲がると、白壁の土蔵や、格子を構えた商家が次々と現れた。  近江商人屋敷の一軒に入ると、黒光りする土間の先に、書院造りの広間が広がった。畳の香りと木のぬくもり。壁には、ボンボン時計が、静かにときを刻んでいる。窓からは、晩秋の陽光がやさしく差し込んでいた。 古びた机の上には、橙色に変色した台帳と、黒ずんだソロバンが置かれてあった。 まるで時代を遡ったかのような光景に、その場を動けなくなった。  年月が過ぎるとともに、古いものは少しずつ淘汰され滅びゆく。しかし、それらに触れとき、心が原点に戻り、新たなものを生みだす力が生まれてくるような気がする。 (2009年12月制作/「近江商人屋敷にて(そろばんのある風景)/絵と文:井上晴雄/滋賀県 東近江市 五箇荘)


新聞での連載コラムがスタートします

2010年1月から、スポーツ報知(関西版)の紙面の一角に、新コーナー「井上晴雄 湯めぐりギャラリー」が誕生。一ヶ月に一回の連載コラムがスタートしました。絵と文で、毎回、温泉地や観光地を紹介していきます。微力ながら、地方の活性化につながればと考えています。応援よろしくお願いします

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次回の連載コラム掲載日は「2010年 2月24日」 です。

※スポーツ報知(関西版)の販売エリアは、北陸、近畿、中国、、山陰、四国地方です。

「鷲羽山の夕暮れ」                                                     絵と文 井上晴雄 先日、JR瀬戸大橋線児島駅からバスに揺られ、夕陽の名所として知られる岡山県の鷲羽山に足を運んだ。夕刻まで空は雲で覆われていたものの、第二展望台に上ると、雲の切れ間から西陽が差し込み、海は茜色に染まりはじめた。沖に目を遣ると、雄大な瀬戸大橋と塩飽諸島のシルエットがくっきりと浮かびあがっている。そのダイナミックな光景に圧倒され筆を執った。鷲羽山から見た瀬戸内海に沈む夕日は、「日本の夕日100選」に選定されている。輝く潮の流れには、ゆっくりと漁船が行き交い、まるでときが止まってしまったかのようだ。

<鷲羽山にあるオススメの温泉宿>

鷲羽ハイランドホテル ・・鷲羽山の高台にあり、備讃瀬戸の島々や瀬戸大橋を一望できるお宿。 特に、空中露天風呂からの眺望は絶景。真鯛焼きをはじめ、 瀬戸内海で水揚げされた海の幸を使った料理も充実

鷲羽山下電ホテル ・・目の前は、紺碧の瀬戸内海。行き交う船や瀬戸大橋の景観を 楽しみながら、ゆったりと旅の疲れを癒せるお宿。桟橋からは 遊覧船が発着。海鮮鍋や御造りなど、海鮮料理も美味。


「井上晴雄.個展」のご案内

「井上晴雄.個展」のご案内

黒豆の老舗として知られる株式会社かね善様、株式会社丹波の黒太郎様のご支援のもと、「井上晴雄.常設個展」を開催中。モノは溢れているけれど、どこかしら生きにくい現代社会。数年間に渡り、画家 井上晴雄が制作してきた「日本の旅風景」をテーマにした作品(絵画と文)を通して、日本の美しさや、未来への希望を味わっていただければという試みです。美味しい「黒豆菓子の即売会」も同時開催中。もしよろしければ、お立ち寄りください Photo_3

■公開日時・・2010年 3月末までの毎週金曜日です( 10:30~18:30)※井上晴雄は「2月26日(金)」と「3月12日(金)」と 「3月26日(金)」に在廊しています

■場所 大阪市営地下鉄千日前線または今里筋線今里駅4番出口上がってすぐ かね善ビル一階

(たとえば、新大阪駅からお越しの場合、地下鉄御堂筋線なかもず行で なんば駅へ。地下鉄なんば駅で 地下鉄千日前線南巽行に乗り、四駅目が地下鉄今里駅です。地下鉄今里駅四番出口を上がったら、すぐ左手に、かね善ビルがあります。その一階となります。)


井上晴雄の絵画が 銘菓のパッケージになりました

井上晴雄の絵画「黒豆畑と青空」が 、チョコレート菓子「黒豆ラングドシャ」のパッケージになりました。黒豆の粉をまぶしたビスケット風の生地に、ほんのり甘いミルクチョコレートが入っているお菓子です。

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お菓子のフタを開けたら、内パッケージに印刷されている当絵画が現れるようになっています。黒豆畑の風景を描いた絵画を眺めながら、お菓子の美味しさをゆっくりと味わっていただければという、思いを込めています。⇒ 。

黒豆ラングドシャを販売している店舗はこちら(兵庫県の北部が中心です)


目次

| <作品の目次>  | [北海道] | [東北] | [甲信越] | [関東] | [東海]   | [北陸] | [近畿] | [山陽] | [山陰] | [四国] | [瀬戸内海] | [九州] | 「その他」 | ■「花」 | 「その他」 | 「夕陽」 | 「夜景」   | 「大地」 | 「山] | 「川」 | 「建築物」 | 「朝陽」 | 「樹木」 | 「海」 | 「湖沼」 | 「漁村」 | 「空」   | 「花火」 | 「農村」 | 「鉄道」 | 「離島」 | 「鳥昆虫」 | (その他2) | ◇「初秋」   | 「初冬」 | 「初夏」 | 「初春」   | 季節なし | 晩冬   | 晩夏 | 晩春 | 晩秋   | テーマ別目次 | 井上晴雄 常設個展 | 井上晴雄 略歴 | 黒豆ラングドシャ | BC2009年3月号(連載記事) | BC2009年5月号(連載記事)

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「雪のプラットホーム」         絵画と文 井上晴雄

 雪の舞い散る日、山間のまちへ向かう列車に乗り込んだ。三両編成のディーゼルカーは、ガタンゴトンと軽やかに線路を軋ませながら、なだらかな盆地をひた走っていく。窓外には、うっすらと雪化粧をした田畑と、残雪の山並み。勾配が上がるにつれて、次第に雪が深くなってくる。トンネルを抜けると、エメラルドグリーンの色を呈した湖が広がった。山裾には民家がしがみつき、湖面に静かに映りだしていた。
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ちいさな谷間の駅で列車を降りた。朝から吹雪いたそうで、随分冷え込んでいる。 ふと、プラットホームに目を遣ると、雪のなかに、ひとりの老婆がポツンと立っているのが目に飛び込んできた。都会に向かう家族を見送っているのだろうか。いつまでもいつまでも、レールの先を眺める彼女の姿が印象に残った。

 粉雪はいつしかボタン雪に変わり、レールの先に遠ざっていく列車の影は、みるみるうちに、白銀の世界と同化されていった。


(2009年1月制作/雪のプラットホーム/F8号/風景/絵画と文 井上晴雄./風景絵画)




「瀬戸大橋と夕陽(鷲羽山にて)」 絵画 井上晴雄

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 先日、JR瀬戸大橋線児島駅からバスに揺られ、夕陽の名所として知られる岡山県の鷲羽山に足を運んだ。夕刻まで空は雲で覆われていたものの、第二展望台に上ると、雲の切れ間から西陽が差し込み、海は茜色に染まりはじめた。沖に目を遣ると、雄大な瀬戸大橋と塩飽諸島のシルエットがくっきりと浮かびあがっている。そのダイナミックな光景に圧倒され筆を執った。

 鷲羽山から見た瀬戸内海に沈む夕日は、「日本の夕日100選」に選定されている。輝く潮の流れには、ゆっくりと漁船が行き交い、まるでときが止まってしまったかのようだ。


唐津の花火大会              絵と文 井上晴雄


 


 唐津は、佐賀県北西部に位置する城下町。旧唐津藩の古い町並みが松浦川に沿ってつづいている。玄界灘を見下ろす小高い山の上には、唐津城がそびえている。今から約400年前、初代唐津藩主、寺沢広高によって築かれた城である。2


 ひぐらしが鳴きやんだ頃、天守閣の向こうから、花火が上りはじめた。そのきらめきを見た人々は一斉に歓声を上げた。次々と咲く、大輪の花々に魅了されているうちに、いつしか私の心は、天空とひとつになっていた。


                             (2009年7月制作/唐津の花火大会/佐賀県 唐津市/夜景鑑賞士 夜景検定)F12

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「山陰 海岸の夕暮れ」(山口県 豊北町の光景) 絵と文 井上晴雄

 角島が見える海岸に着いたのは、夕方のことだった。
下関からローカル線に乗り、山口県の豊北というまちまでやってきた。バスが行ってしまうと、岬は、潮風の香りで包まれていた。

 坂道を登り、少し歩くと、日本海が広がった。打ち寄せるさざ波は、西陽を受けて、キラキラと輝いている。 あまりの美しさに、帰りのバスの時間などすっかり忘れてしまい、それからずっと、沖を眺めていた

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 夕方の海には、優しさと力強さが秘められているような気がする。一日の終わりに、太陽が最後の力を振り絞って光を放っているようなさまと接したとき、震えるような感動を覚える。そこには、夕暮れどきにしかない独特の美が詰まっている気がしてならない。陽が落ちてしまうと、闇夜が到来する。光り輝くときがいつまでも続かないと分かっているから、夕陽の光は一層、切なく、美しく映るのだろうか。
 
 人間は日々を過ごしているうちに、気がつけば、過去の些事に悩んだり、日常に不満を感じていたりすることが少なくない。だが、一生は限られたもの。後ろ向きなことをくよくよ考えるよりも、ひとつでも多くの感動や喜びを探すほうが得策ではないか。

(2009年3月制作/山口県 豊北町/国内旅行/旅の風景/下関) 国内旅行 中国・山陰地方 山陰 海岸の夕暮れ)


「学校(小豆島・岬の分教場の風景) 絵画と文 井上晴雄

 小豆島は香川県に属し、瀬戸内海に浮かぶ島。温暖な気候のもと、オリーブの栽培や、醤油の生産が盛んな島である。小豆島は、昭和27年(1952年)壺井栄氏が発表した小説「二十四の瞳」の舞台としても知られる。昭和3年(1928年)から終戦翌年までの激動の時代を生きた、大石教導と12人の教え子たちの物語。それから現在までに、60年以上の歳月が流れた。   「二十四の瞳」に登場する「岬の分教場」とはどんな学校だったのだろうか。さまざまな思いを馳せながら、小豆島に足を運んだ。

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 小豆島南部にある安田から「岬の分教場」までは一本道である。自転車で緑のトンネルを抜けていくと、次第に、視界に海が広がってくる。紺碧の海を眺めながら、岬の突端を目指してひた走ってゆくと、オリーブの葉が静かにそよぎ、陽があたたかく海面を照らしていた。

             

 「岬の分教場」は、海のすぐ傍に現存していた。昔ながらの木造の佇まい。建物の中に入ると、暗がりのなかに、黒光りする廊下が続いていた。シーンと静まり返り、ひんやりとしている。ガラガラと、重たい扉を開けて教室に入ると、窓から差し込む、やわらかな光のなかに、古びた椅子と机が並んでいる光景が目に飛び込んできた。懐かしい思い出の数々が甦り、その場を動けなくなった。   

ときが経っても変わらないものがある。学生時代の思い出。それもそのひとつだろう。いつまでも色褪せることなく脳裏に焼きついている。それらを心の宝物として大切にあたためながら、今後も歩んでいきたいと思う。上空を仰ぐと、青空に虹色の雲がゆっくりと流れていた。

(「学校 小豆島 岬の分教場」/国内旅行/旅/風景/絵画/香川県 小豆島)