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「御船ヶ丘梅林の風景」(佐賀県武雄市)

「御船ヶ丘梅林の風景」(佐賀県武雄市)
先日、佐賀県の西部に位置する武雄市に足を運ぶ機会があった。武雄市は随所に歴史風情が漂うまちだ。
 
JR武雄温泉駅を降りたった日のこと、駅付近を散策していると目の前に不思議な形の山がそびえているのが見えた。地元の人が、それは御船山という山であると教えてくれた。西暦200年頃、神功皇后が新羅からの帰りに船をつないでいた場所。それが現在の御船山の名の由来であるのだそうだ。
 
御船山の方角に15分ほど歩くと、その麓に武雄神社という神社が立っていた。鳥居や石垣は苔むしていて、いかにも古びた神社である。境内の一角には武雄神社の御神木であるという大きな楠の木が立っていた。幹周は20mにも及びその樹齢は何と3000年。社伝によると武雄神社は武内宿禰など日本書紀に登場する人物を祀っているとのこと。その歴史の長さに驚かされた。
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不思議な気持ちに包まれながら、看板に沿って坂をのぼっていくと、視界いっぱいに、梅の花が咲き誇る風景が広がった。御船山の東山麓に広がる御船ヶ丘梅林である。紅色に白色にと3000本もの梅の木々が連なっている。これらの梅の木は1942年に植樹されたのだそうだ。
 
春のうららかな陽光の下、辺りには梅の花の甘い香りが立ち込めている。その春の到来を感じさせてくれるやさしくもエネルギーに満ちた空間を自分なりに絵画で表現してみた。
 
 
自然は何も語ることもなくただ泰然としているように見えるが、毎年忘れずに若葉が芽吹き、美しい花を咲かせて私たちを楽しませてくれる。その当たり前に映るできごとになぜか深い感動を覚えた。自然の長い視座でものごとを観たとき、今の時代は果たしてどう映るのだろうか。
 
(「御船ヶ丘梅林の風景」(佐賀県武雄市)/2019年3月制作/F10号/絵と文 井上晴雄)

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