« 絵画「千歳・支笏湖氷濤まつり」 ~色とりどりの光に輝く支笏湖湖水でできた氷像群~ | Main | 絵画「学校(小豆島・岬の分教場の風景/香川県小豆郡) 絵と文 井上晴雄 »

かつて炭鉱で栄えた路線、JR日田彦山線を旅する (絵画と文)井上晴雄

かつて炭鉱で栄えた路線、JR日田彦山線を旅する                

                                      絵と文 井上晴雄
 

 久しぶりに九州にやってきた。北九州市の小倉駅に着くと大分県の日田へ向かう二両編成の気動車がホームの端から出発しようとしていた。

Photo

                                
 小倉駅を後にした日田行の気動車はJR日豊本線をしばらく走ると、城野駅からJR日田彦山線に入る。JR日田彦山線は全長68.7kmの路線で、もとは筑豊地域や平尾台で産出した石炭や石灰石を運ぶ目的で敷かれた路線だ。
 
 
 志井公園駅を過ぎるとのどかな田畑が車窓に広がり、その先には石灰岩の山々が連なりはじめる。銅を扱った採銅所駅や石灰石を扱った香春駅などを過ぎ、かつて炭鉱地帯の中核として栄えた田川伊田駅で途中下車した。  
 
  田川伊田駅から5分ほど坂道を上ると石炭記念公園があり、炭坑節で唄われた2本の煙突や、石炭を輸送したSL、竪坑櫓などを見学できた。ちなみに炭坑節は炭鉱労働のなかで自然発生した民謡で田川市を発祥とする。そのなかにこのような節がある。「香春岳から 見下ろせば 伊田の竪坑が 真正面 12時下がりの サマちゃんが ケージにもたれて 思案顔 サノヨイヨイ・・」

  石炭記念公園の一角からは、そんな炭坑節に登場する香春岳の山容を一望することができる。石炭の衰退から久しく、眼下に広がる伊田のまちなみからは、当時の面影をうかがい知ることは難しい。ただ、石灰岩が削られ平らな形になった香春岳の山容がその歴史を物語っているようで、何ともいえない気持ちになった。  
 田川伊田駅から再び日田行の普通列車に乗車。添田駅を過ぎると英彦山の峠越えだ。緑の山々が両側から迫り、列車は力強く山間のカーブを描く。彦山駅を出ると全長4380mの釈迦山トンネルに入る。出口がなかなか見えてこない長いトンネルから出ると筑前岩屋駅に到着。既に日は落ち、薄藍色に染まった山々ではヒグラシが美しい音色を奏でていた。  
 木造駅舎の宝珠山駅を過ぎると列車は大分県に入る。夜明駅からJR久大本線に入ってしばらく走ると終点の日田駅にたどり着く。
 
      (「かつて炭鉱で栄えた路線JR日田彦山線を旅する 絵と文 井上晴雄/『旅の眼121号』掲載)

« 絵画「千歳・支笏湖氷濤まつり」 ~色とりどりの光に輝く支笏湖湖水でできた氷像群~ | Main | 絵画「学校(小豆島・岬の分教場の風景/香川県小豆郡) 絵と文 井上晴雄 »