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絵画「天竜浜名湖鉄道の列車、国登録有形文化財の天竜川橋梁を行く(「旅の眼」掲載」)」 絵と文:井上晴雄

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「天竜浜名湖鉄道の列車、国登録有形文化財の天竜川橋梁を行く」<br />
                  絵と文 井上晴雄

「天竜浜名湖鉄道の列車、国登録有形文化財の天竜川橋梁を行く」
                  絵と文 井上晴雄

静岡県を走る天竜浜名湖鉄道の西鹿島駅から秋葉街道に沿う道をしばらく北上すると、天竜川と交差した。天竜川の澄んだ水は瀬音を立てながら遠州灘に向かって優雅に流れ、時おり飛沫が川面をキラキラ煌めかせている。下流方向には雄大な橋が浮かび上がっていた。長さ403mの天竜川橋梁である。橋の上には天竜浜名湖鉄道の線路が東西に延びていた。

天竜浜名湖鉄道は静岡県の新所原から掛川までの66.7kmを結ぶローカル線だ。その前身は昭和15年に開通した国鉄二俣線。旧国鉄の第二次廃止対象特定地方交通線になったことで、昭和62年に第三セクター鉄道として再スタートをきった。それから四半世紀近い月日が流れた現在、天竜浜名湖鉄道は地元の人々の通学や通勤の足として欠かせない存在となるとともに、観光鉄道としても注目されるようになった。浜名湖や茶畑が展開する美しい車窓風景の魅力は然ることながら、沿線の主要施設36カ所(平成24年現在)が国の登録有形文化財に指定されていることも観光客たちの関心を集めているのだ。天竜川橋梁もそのひとつで、鋼製七連橋桁と三連トラス橋からなるそのたたずまいには、昭和16年竣工当時の面影が残る。

無数の小石が連なる天竜川の河畔に陽光がやさしく差しはじめた時刻のことだった。「ガタンゴトン、ガタンゴトン」。山峡の風を割るようにレールを軋ませる音が渓谷に鳴り響き、白い一両編成の車両が青空の下に現れた。天竜浜名湖鉄道の列車だった。川面にその姿が映しだされたかと思うと、見上げる橋梁の上を力強く駆け抜けていった。

一瞬の出来事だった。列車が走り去ってしまうと、天竜川の瀬音だけを残して、また静けさが渓谷を包み込んでいった。大人になって忘れかけていた感動のかけらを思い出したような気がふとして、心地よい余韻に浸りながら列車が過ぎ去った橋梁をずっと眺めていた。

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