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絵画「古都の朝日(興福寺)」 奈良県奈良市 絵と文 井上晴雄

 

絵画「奈良の朝陽(興福寺)」

「古都の朝陽(興福寺)」

奈良県奈良市

                      絵画と文 井上晴雄.
  奈良県の興福寺境内
にて。早朝、私はただひとり、夜があけるのを待っていた。昼間は観光客で賑
わっている界隈も、ただしんと静まりかえっていた。気温は低く、かじかんだ手を吐息で温めながら
 ただ朝陽が昇るときを待った。漆黒の闇夜は、いつしか群青色に変化し、月の輪郭がぼんやりと霞
んでくる。

 興福寺は、和銅3年(710年)平城遷都に合わせて、
藤原不比等が 飛鳥の厩坂寺を現在の地に移転し「興福寺」と名付けた寺。以降、現在に至るまで、千三百年の年月が流れることになる。

  数時間が経過したとき、空に無数の鳥たちが舞い踊りはじめた。そのときだった。山の端から 光が差し込んできた。まばゆいばかりの陽の光は、凍った空気や大地を一
気に染めあげ、興福寺の三重塔のシルエットをくっきりと浮かびあがらせた。


 待っていて良かった。震えるような感動がそこにはあった。

 蒼く静まりかえっていた古都に昇った朝陽。悠久の歴史が刻まれた奈良の地には、人の心を落ち着かせ、純粋な感動を、呼び起こす力があるような気がしてならない。千年を超える途方もない年月の痕跡と対峙したとき、日々のせわしなさや 細かいしがらみは、不思議と些事に思えてしまう。古都には、現代社会の尺度では計れない大きなものが秘められているのだろうか。

 歴史の一端に触れ、感動を探しながら、生きていきたいと思う。 2009年3月制作/奈良,遷都1300年,興福寺/奈良県 奈良市/井上晴雄/国内旅行/風景)

→地図(奈良県 奈良市)

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