« リンクC | Main | »

絵画 「東京の夜景」         絵と文  井上晴雄

絵画「東京の夜景」

                                               
                                                                                 
   私が初めて東京に行ったのは10年ほど前のことになる。そのときの東京の印象は華やかそのものだった。縦横無尽に広がる高層ビルの林、政治、文化、科学などが集積している首都。言葉なくして心躍った。
 ただ、それから、東京の印象が少しずつ変わっていくのを感じた。これだけたくさんの人がまちに行き交っているのに、どこか寂しい・・。

 

 戦後、日本は急速に科学技術や経済を発展させ、高度なものをつくりあげてきた。数字の上では、日本は豊かさを獲得し、先進国の仲間入りをした。しかし、メディアでは見えないところで、生き甲斐を失った若者が路頭に迷っていたり、自殺者数が増加の一途を辿るなど、どこか歪が生じているのも分かってきた。
  そろそろ、「心の豊かさ」を取り戻す時代に入ったのではないかと思う。生産性や効率性を重んじつつも、昔ながらのアナログなもの、たとえば家族や友人とのコミュニケーション、隣人どおしの助け合いなども大切にしていきたい。
  
  ガラス窓越しに、光の渦が視界いっぱいに広がった。無数にきらめく東京の夜景に、しんしんと真白な雪が舞い降りていく。世界中の人々に、幸せの雪が降り積もることを願いキャンバスに向かった。

(2008年12月制作/F10号/「東京の雪」/夜景鑑賞士(夜景検定)/絵画と文 井上晴雄)

« リンクC | Main | »