津軽の海
「津軽の朝陽」作品説明
青函トンネルを抜けて、列車は、本州から北海道に入った。木古内駅で途中下車すると、
厳しい風雪が吹き荒れ、道は厚い氷に閉ざされていた。日本でも有数の豪雪地帯。あまりの寒さに身震いした。導かれるように、光の射す方向に歩いていくと、砂浜の向こうに、明るい津軽の海が広がっていた。打ち寄せる波がキラキラ輝き、沖はやさしい光に包まれていた。
青森へ向かう一艘の船が、ゆっくりと光のなかに消えていった。その甲板に、津軽の
朝陽に手を合わす、老婆のシルエットが、一瞬、見えたような気がした。
現代の社会において、私たちの一生は、順風満帆に進むのが理想と考えられがちである。しかし、私は、それが良いとは限らないように思う。むしろ、困難や試練に直面し、失敗や挫折を数多く知ってこそ、気づく幸せもあるような気がする。例えば、風雪のなかで見た、
この津軽の朝陽のように。
