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幸せが降りつもる

67_008さびれた山奥の廃線跡
列車がやってこなくなって 何年も経つ

人々はいつしかその存在さえ忘れてしまった

ただ 桜の木々だけは
今年も 忘れることなく
たくさんの 花吹雪を降りつもらせていた

(F4号 水彩画 2007年7月制作)


「幸せが降り積もる」作品説明

人里離れた山に分け入っていくと、茂みのなかに、廃線跡があった。枕木はとうに朽ち果て、線路は草や苔で覆われていた。ふもとの村のに住む誰もが、その存在すら忘れてしまっていた。

 しかし、春が訪れると、線路脇の山桜は毎年欠かさず咲き乱れ、廃線跡を愛でるかのように、花吹雪を散らしているのだった。春の薄い光が枕木に落ち、足元には、無数の桜の花びらが吹き溜まる。それはかつて、列車が山を駆け抜けたときと何変わらない華麗な姿だった。
 
 人間も、年を重ねるごとに、腰が曲がり、病気がちになり、次第に朽ち果てていく。しかし、それはとても美しいことである。ここまで築いた深い人生経験や想い出の数々は、未来へ繋がるかけがえのない財産である。

 私も含めた若い世代は、年配の方々を敬い、紡がれた歴史から、真摯に何かを学んでいきたいものである。