黒潮の夜明け
高くそびえる黒潮の向こうから 輝く朝陽が差し込んだ
人生は一度きり
過ぎゆく一日一日に感謝して
一分一秒 大切に過ごしたい
(絵:井上晴雄./水彩画/F8号/2007年6月制作)
「黒潮の夜明け」作品説明
季節は初冬。私は南国に向かうフェリーに揺られていた。寒々とした突風が甲板に吹き
つけ、船は、海のなかに今にも飲み込まれるかのように揺れていた。どこまでも深い暗
闇に激しい水しぶきが立ちあがり、身震いがした。ただ、そのときを待った。
明朝、東の空がかすかに藍色に染まってきた。そのときだった。水平線上から、突然、
光が射し込んだ。まばゆいばかりの朝陽は、またたく間に空気を溶かし、天空を錦色に
染めあげた。うねる波はくっきりと姿を現わし、滑らかにキラキラと輝きはじめた。待
ちに待った朝がやってきたのだ。
人生には 絶望の縁に立たされることもある。辛さや悲しさに打ちひしがれることもあ
る。しかしそんなときも、舵をこぎづつけ、ときを待てば 必ず陽は上がってくる。明
るい夜明けは、必ずやってくる。
