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「冬の川」

 fuyukawa「冬の川」 水彩F6号 絵と文:井上晴雄。


        
「冬の川」作品説明

厳しい寒さが大地を覆い尽くした日。私は、北海道長万部からほどなく
離れた、ちいさな湯のまちをひとり歩いていた。空はどこまでも鈍色に
凍りつき、まちは、見あげるほど深い雪に閉ざされていた。

まちのなかに、ちいさな川の流れがあった。厚い樹氷が河岸の木々を覆い、
それらは厳しい風雪に耐えた跡のようで、切なく思えた。

 河岸に降りたつと、凍っているかのように見えた川に、清らかな水が
軽やかに流れていた。そのさまは、まるで時を奏でるオルゴールの音色の
ように美しく優しかった。脇には、春の草の芽が顔を出しはじめていた。
冬の川は雪に埋もれながら、春の準備をしていたのだ。

 ときが経てば、必ず季節はめぐりゆく。川が流れるように、真実に過ごして
いれば、どんなに長い冬にも必ず春は訪れる。

  川は絶え間なく流れ、大地の氷を溶かしていく。
 大地は生きている。
 私たちも生きている。
 冬の川は、大きな幸せを呼んでくれる。