春先の農村風景

                 「春先の農村風景」
                                           絵と文 井上晴雄

列車を乗り継ぎ、ちいさな農村に数年ぶりに訪れた。雪に閉ざされていた野山は、いつしか春の光景に様変わりしていた。畦道には、菜の花やレンゲソウが可憐に咲き乱れ、小川からは、軽やかな瀬音が聞こえてくる。

Photo

小径を歩いていくと、明るい段々畑が広がった。そこには、おばあさんたちが、農作業に勤しむ姿があった。まるで春の到来を全身で喜ぶようかのように、懸命に田畑を耕し種を蒔いている姿が印象に残った。ここから農作物が育っていくのだ。

季節は、毎年、正確に巡ってくる。春になると若葉が芽吹き、夏になると、入道雲が湧きあがる。一見すると、ごく当たり前のことかもしれない。ただ、ふと立ち止まってみると、その平凡なことが至極、奇跡的でありがたいことに思えてならない。

 

(「春先の農村風景」/播磨/自然/農村の風景/絵画と文:井上晴雄./国内旅行/風景/風景絵画)